閉塞性睡眠時無呼吸症候群の簡易検査と治療(CPAP)
いびきが大きい、呼吸が止まっていると家人から指摘されている方、よく寝たはずなのに疲れが取れない方、実は閉塞性睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性があります。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に無呼吸や低呼吸を繰り返す疾患で、サス(SAS:Sleep Apnea Syndrome:以下SASと略す)とも言います。SASは、睡眠を障害し、朝の目覚めの悪さや、日中の過度の眠気の原因となったりします。生活習慣病との関連性や精神疾患や認知機能低下などとの関連も指摘されています。SASは肥満に多く見られますが、西洋人に比べ顎が小さい東洋人は、肥満がなくともSASになっておられる方も多いと考えられています。狭心症などの虚血性心疾患や心不全、肺疾患患者においてはSASが原疾患を悪化するとも考えられています。
参考資料
・JAMA. 2000 Apr 12;283(14):1829-36. doi: 10.1001/jama.283.14.1829.Association of sleep-disordered breathing, sleep apnea, and hypertension in a large community-based study. Sleep Heart Health Study F J Nieto , T B Young, B K Lind, E Shahar, J M Samet, S Redline, R B D'Agostino, A B Newman, M D Lebowitz, T G Pickering
・Sleep Med Rev. 2020 Apr:50:101250. doi: 10.1016/j.smrv.2019.101250. Epub 2019 Dec 12.
Obstructive sleep apnea, cognition and Alzheimer's disease: A systematic review integrating three decades of multidisciplinary research Omonigho M Bubu , Andreia G Andrade , Ogie Q Umasabor-Bubu, Megan M Hogan, Arlener D Turner , Mony J de Leon, Gbenga Ogedegbe, Indu Ayappa, Girardin Jean-Louis G , Melinda L Jackson , Andrew W Varga , Ricardo S Osorio
SASの重症度について
無呼吸低呼吸指数(AHI:Apnea Hypopnea Index)で評価します。
1時間当たり無呼吸と低呼吸が何回あったかで、重症度が決まります。
無呼吸(Apnea)
無呼吸を判定するセンサーの最大振幅が基準値より90%以上の振幅の低下が10秒以上持続したものを1回とカウントします。
低呼吸(Hypopnea)
低呼吸を判定する振幅の低下が、70%以上で加えて酸素飽和度が3%以上低下した場合を、1回としてカウントします。
| 正常 | 軽症 | 中等症 | 重症 |
|---|---|---|---|
| AHI<5 | 5≦AHI<15 | 15≦AHI<30 | AHI≧30 |
1時間に5回未満の無呼吸は正常です。AHIが、30回以上は重症SASとなります。
簡易検査について
SASの治療でCPAPを導入するには、無呼吸の重症度についての検査が必要です。
検査には精密検査であるポリソムノグラフィー(PSG)検査と簡易検査の2つがありますが、当院では簡易検査のみ実施しています。
簡易検査
鼻腔からの気流の変化と動脈血酸素モニターにより酸素飽和度の低下(体の中の酸素化の低下)を自動的に計測する簡易検査です。 簡易検査は、医師が睡眠時無呼吸症候群の疑いがあると医師が、判断した場合に保険適用となります。
メリット
検査にかかる金額が、精密検査(PSG検査)に比べコストがかからない。
- 終夜睡眠ポリグラフィー(その他)720点
- 脳波検査判断料 180点上記に加え、初診料などがかかります。
- 3割負担の場合、検査費用はおよそ3,000円程度です。
自分の好きな日から始められる。
装着が簡単です。(3か所のみの装着)

検査は、自宅での検査となります。

最大3日間、通常2日間にわたって検査を実施します。
SASの治療 CPAP (Continuous Positive Airway Pressure)について
日本語では、持続陽圧呼吸療法といいますが、一般的にはCPAP(シーパップ)と呼ばれています。SAS患者に対し、呼吸にあわせて気道に適切な圧力を加えた空気を送り込むことで、気道の閉塞を防止し無呼吸・低呼吸をなくす治療法です。保険を用いた使用にあたっては、一定以上の重症度のある方のみの使用となります。
2026年、診療報酬改定により、6月よりCPAP導入の門戸が広がります。
今までSASが、AHI30台で重症であってもAHIが、40未満の場合は、入院でのPSG検査を実施しなければなりませんでした。今回、簡易検査でAHIが30台の患者さんにも、CPAPがすぐに導入できるようになります。また、PSGを用いて、AHIが20以上とされていた値が、15以上となり中等度以上のSAS患者さんに広くCPAPが使用できるようになります。

CPAPに要する費用について
CPAPを外来で管理するときに発生する点数(2026年、診療報酬改定後)
- 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2・・・・240点(2026年3月現在250点)
- 持続陽圧呼吸療法充実管理体制加算・・・・15点(新設、施設基準有)
- 在宅陽圧呼吸療法用治療器加算・・・・・・960点
- 在宅持続陽圧呼吸療法材料加算・・・・・・100点
- 合計13,150円(10割負担)
CPAPを使用する割合が高いと考えられる年齢は壮年期の方です。
3割負担で、月におよそ5,000円程度となります。
CPAP装着の様子

使用にあたっての目標 月に70%以上の使用、1日4時間以上装着して睡眠をとることがが目安となります。

