肩こり
頸部から肩、背中にかけて慢性的な筋肉の張りや痛みを訴える症状です。2016年度国民生活基礎調査では、男性で訴える症状の2位(1位は腰痛)、女性では1位(2位は腰痛)です。原因として、筋緊張の亢進、血流不足などにより引き起こされると考えられています。
治療
日頃からの軽い運動、無理な姿勢を続けない、冷やさないなどがよいとされています。
薬物治療:湿布や消炎鎮痛剤、筋肉を緩める筋弛緩剤や抗不安剤などを処方します。
ブロック:頻用される注射として筋肉の硬結部分(圧痛点や緊張の強い部分)に注射するトリガーブロック注射があります。症状が強い場合、星状神経節ブロックで交感神経の緊張をゆるめたり、各種の末梢神経ブロックにより血行を改善するとブロックの作用時間以上の効果がみられます。
ハイドロリリースブロックは、筋・筋膜性疼痛に対し生理食塩水やブドウ糖液を用いて筋膜(筋肉と筋肉の境にある膜)間の動きをスムーズにすることによって痛みの緩和をはかるブロックです。このブロックは、実施している施設はありますが、保険上は認められてはいません。当クリニックでは、自由診療枠での実施となります(1回4,000円)。
五十肩
明らかな原因なく肩の痛みと動きが悪くなる疾患ですが、肩関節周囲の組織に炎症が起きることが原因と考えられています。好発年齢は40~60歳代ですがより高齢でも発症します。急性期・慢性期・回復期をたどって1年程度で自然に治ると考えられています。
しかし、痛みによる日常生活の障害や動かさないことによる肩が上がらなくなるなどの症状が出る場合がありますので、それぞれの病期に対応した治療が必要でしょう。
治療
薬物療法:消炎鎮痛剤や外用薬(湿布)、不眠に対しては睡眠薬などを処方します。
ブロック注射:関節内や肩峰下滑液包といわれる肩関節上部へのヒアルロン酸と局所麻酔薬の注射を実施します。急性期の炎症が強い時期にはステロイドの関節内投与も行います。肩周辺の痛みに対しては、肩甲上神経ブロック注射や腋窩神経ブロック注射、腕神経叢ブロック注射などのブロック注射で痛みの軽減をはかります。
可動域が大きく制限され、保存的な治療での改善が認められない場合は、治療経験が豊富な施設を紹介させていただきますが、入院にて内視鏡下、関節包の拘縮をとる手術もあります。どちらにせよリハビリが大切となってきます。
五十肩以外にも、腱板の損傷や断裂、肩周囲に石灰化が認められる石灰沈着性腱板炎や力こぶをつくる上腕二頭筋腱に損傷が認められることもあり、これらが合併している時もあります。これらに対してペインクリニックにおいては、肩峰下滑液包といわれる肩関節上部へのヒアルロン酸、局所麻酔薬やステロイドの注射や、腱周囲への局所麻酔薬やステロイドの注射投与により痛みの軽減をはかります。
肩の痛みは内臓疾患や絞扼性神経障害、頚椎症、腫瘍でも発症します。場合によっては、専門科への紹介が必要な場合もあります。