頭痛
当クリニックで治療可能な頭痛は、MRIやCTなどの検査で頭の中には異常を検出できない慢性の頭痛です。これらの頭痛を一次性頭痛といいます。頻度の高いものとして、片頭痛、緊張性頭痛、群発頭痛などがありますが、頭痛薬の使い過ぎによる頭痛(薬物乱用頭痛)もあります。
治療方法として、予防薬、発作時使用薬と注射による治療方法がありますが、頭痛薬の使い過ぎで逆に頭痛を悪化させている場合もあります。この場合薬の見直しも大切です。
片頭痛
30歳までに遅くとも最初の片頭痛を経験することが多いとされています。頭痛の為、寝込んでしまったり、音や光に過敏になったりします。原因として、脳の異常活動による脳血管の拡張や収縮、神経の異常興奮によるものではないかと考えられていますが、結論は出ていません。
発作時の使用薬
消炎鎮痛薬、片頭痛内服薬、皮下注射製剤など
予防薬:片頭痛が月2~3回以上ある場合考慮
注射:星状神経節ブロック注射治療で頻度と程度が軽くなられる方はおられます。症状が強く頻度が多い患者様は受けてみる価値はあると考えます。
注)当クリニックでは下記のCGRP製剤は取り扱っておりません。
- エムガルティ:CGRPモノクローナル抗体
- アジョビ:CGRPモノクローナル抗体
- アイモビーグ:CGRP受容体拮抗薬
緊張性頭痛
生涯有病率が、最も多い頭痛で非拍動性が特徴の頭痛です。両側性締め付けられるような頭痛で目の奥や頸部にも痛みが及ぶことがありますが、日常動作による症状の悪化はあまりないとされています。リラックスや運動がよいとされています。
発作時の使用薬
治療薬:消炎鎮痛剤やストレスが強い場合は筋弛緩薬、抗不安薬、抗うつ薬も使用します。漢方薬もあります。
注射:強く張った部分、圧痛点にトリガー注射(局所麻酔薬+消炎鎮痛薬の注射)や頭頚部の交感神経を緩めるために星状神経節ブロック注射を行います。
群発頭痛
夜間の決まった時間が多く、突然の落ち着かないぐらいの強烈な痛みが15分から3時間程度持続して発生します。飲酒で誘発されることもあります。頭痛と同じ側に涙が出たり、鼻汁がでたり、顔面に発汗などの症状が随伴します。初めての場合は、腫瘍・動脈瘤・異物否定の為画像検査が必要となります。原因は頭の血管の変化やセロトニンという物質の関与が考えられていますが、結論は出ていません。
発作時治療薬:高濃度酸素と皮下注製剤を使用しますが、当クリニックでは酸素投与設備はありません。
使用薬
予防薬:片頭痛使用と同様の内服薬処方
ブロック:群発頭痛が続いている場合、星状神経節ブロック注射や翼口蓋神経節ブロック注射などの施行を考慮します。
以下ついてご注意ください
- これらの頭痛は、一回の服用やブロック治療で完治する病気ではありません。薬や生活習慣の見直しなどで症状の軽減や発症回数を減らすことはできても、これらの頭痛とうまく付き合っていかないといけません。
- 他疾患による原因が明らかな、クモ膜下出血や感染による急性の痛み、がん進行による痛みは、二次性頭痛といい、それぞれの原因となる疾患を扱っている科の治療となります。
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希望者には漢方薬も処方します。
後頭神経痛・大耳介神経痛:
頭痛ではありませんが、頭の後ろ側、耳の後ろ側にびりっと走る痛みが急に出ることがあります。
ブロック注射:超音波エコーを用いて、関連神経に対し治療薬を投与します。