- 2026年7月22日
睡眠時無呼吸症候群の在宅での精密検査を2026年8月1日から提供します
睡眠の精密検査(睡眠時の脳波測定)を行うには、病院やクリニックの施設に宿泊し、睡眠のゴールデンスタンダードであるポリソムノグラフィ(以下、PSG)睡眠脳波をとることが必要でした。ここ数年、前頭部に装着する前頭部脳波モニターを使用した精密検査も認められるようになっていましたが、2026年6月の改定で、在宅にて、低料金で行うことが可能となりました。当院でも8月1日より、前頭部脳波モニターであるスリーププロファイラーⅡとナイトグラフ(2026年3月に保険収載)(下写真)を提供することとなりましたのでおしらせします。

左上写真:株式会社 フィリップス ジャパン:スリーププロファイラーⅡ装着ガイド より抜粋掲載
右上写真:株式会社 フィリップス ジャパン:ナイトグラフ パンフレットより抜粋
2026年6月以降 睡眠検査費用について
終夜睡眠ポリグラフィーの保険診療上の点数について
【簡易検査】
①携帯用装置を使用した場合720点(10割で7200円)
図 https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/2r98520000012au7.pdf
参 考 資 料 平成21年7月2日 先進医療専門家会議資料 より抜粋
在宅で実施する簡易検査です。当院で提供しています。
AHI(1時間の無呼吸・低呼吸の回数)が30以上でCPAPの導入が可能と判定されます。
②多点感圧センサーを有する睡眠評価装置を使用した場合250点(10割で2500円)

図 https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/2r98520000012au7.pdf
参 考 資 料 平成21年7月2日 先進医療専門家会議資料 より抜粋
入院が必要となります。あまり実施されていません。
当院では提供していません。
【精密検査】
③ ①及び②以外の場合:
㋑ 安全精度管理下で行うもの4,760点(10割で47600円)・・・入院精密検査

画像右 :帝人ファーマ株式会社(https://medical.teijin-pharma.co.jp/product/zaitaku/
nox-a1s/img.html)より抜粋
画像左:https://db62n3wsbj7cz.cloudfront.net/files/item/books%20PDF/978-4-7849-6685-1.pdfより抜粋
入院し、PSG装着しての精密検査となります。技師が睡眠をモニター監視しています。当院では、実施していません。
AHI(1時間の無呼吸・低呼吸の回数)が15以上で保険診療でのCPAPの導入が可能と判定されます。
㋺ 保険医療機関内で又は訪問して実施するもの3,570点(10割で35700円)・・・入院精密検査

株式会社 フィリップス ジャパン:スリーププロファイラーⅡ装着ガイド より抜粋掲載
株式会社 フィリップス ジャパン:ナイトグラフ パンフレットより抜粋
入院施設での実施となります。当院では入院での睡眠検査は実施していません。
AHI(1時間の無呼吸・低呼吸の回数)が30以上でCPAPの導入が可能と判定されます。
㋩ その他のもの 2,000点(10割で20000円)・・・・在宅・精密検査

株式会社 フィリップス ジャパン:スリーププロファイラーⅡ装着ガイド より抜粋掲載
株式会社 フィリップス ジャパン:ナイトグラフ パンフレットより抜粋
在宅での精密検査
AHI(1時間の無呼吸・低呼吸の回数)が30以上でCPAPの導入が可能と判定されます。
当院では、㋩の在宅での精密検査の提供は8月1日より可能となります。
在宅で行う精密検査を実施できる条件として
まずは簡易検査が必要となります。
当院にて、検査キットを貸し出します。
簡易検査の結果、睡眠時無呼吸低呼吸が、1時間当たり30回未満15回以上であった中等度睡眠時無呼吸症候群患者さんに対してのみ、在宅での精密検査が実施できます。
保険診療においては、簡易検査でAHIが30以上あれば、重症の睡眠時無呼吸症候群として、CPAPの使用は可能となります。精密検査では、AHI(1時間の無呼吸・低呼吸の回数)が15以上でCPAPの導入が可能と判定されます。
精密検査手順と測定項目について
検査の流れ
簡易検査を実施し、AHIが30未満であった場合
①クリニック受診 検査日の決定と準備(検査キットドが、自宅に配送)
↓
②患者さんによる在宅での測定 (検査が終われば、検査キットを返却)
↓
③AIによる自動解析
↓
④ クリニック再診 結果報告
↓
- CPAPが必要な場合は、CPAPを開始
医療用マウスピースなど、CPAP以外の提案も行います。
測定項目
■脳波 ■眼球運動 ■オトガイ筋電図 ■睡眠段階 ■覚醒反応 ■呼吸フロー/いびき(鼻カニューラ) ■ SpO2 (血中酸素飽和度) ■脈拍数 ■胸部呼吸努力 ■腹部呼吸努力 ■体位 ■体動
在宅精密検査のメリット
入院より安価に精密検査が可能です、また、睡眠環境が普段と変わらないメリットがあります。
検査精度は、かわりませんが、頭部への固定式のスリーププロファイラーⅡより、今後、頭部への装着が容易な、ナイトグラフが普及していくと思います。
今回、前頭部に装着する前頭部脳波モニター(スリーププロファイラー:以後Sleep Profilerと示す)が、睡眠検査のゴールデンスタンダードであるポリソムノグラフィ(PSG)と同様に睡眠精密検査が可能であることを示した論文について紹介します。
J Clin Sleep Med. 2017 Jun 15;13(6):791-803. doi: 10.5664/jcsm.6618. The Accuracy, Night-to-Night Variability, and Stability of Frontopolar Sleep Electroencephalography Biomarkers
Daniel J Levendowski, Luigi Ferini-Strambi, Charlene Gamaldo, Mindy Cetel, Robert Rosenberg, Philip R Westbrook
研究の目的:
携帯型の前頭部脳波(EEG)記録装置(Sleep Profiler)から得られる睡眠の構造(ノンレム睡眠時の睡眠の深度とレム睡眠)と継続性に関しての情報がPSGと比較して精密検査として妥当かどうかを評価すること

図:Sleep Profiler 論文中より画像抜粋
方法:
47名の被験者が、Sleep Profilerと同時に睡眠ポリグラフ検査(PSG)を実施し、Sleep Profiler のAIによる自動測定の結果と、PSGによる脳波モニター結果を比較評価しています。
評価方法は、5名の認定睡眠検査技師が、個別にPSG記録を判定し、自動解析された睡眠EEGデータとの一致度(κ値:カッパー値)で評価しています。
補足:κ値とは、診断結果の一致度を表す指標です。0.81~1.00であれば非常に高い一致とみなすことができます。0.61以上であれば、実用レベルとみなされます。


睡眠のステージは、Awake(覚醒)、ノンレム睡眠であるStageN1(浅い睡眠)、StageN2(中等度の深さの睡眠)、StageN3(深い睡眠)とREM(レム睡眠)に分けて計測されています。
簡易検査では、無呼吸・低酸素呼吸、いびき、酸素の濃度の低下、体動についてはわかりますが、睡眠・覚醒の正確さには欠けます。また上図解析のような脳波の測定はできません。
結果:
5名の検査技師間における全体的な一致率の平均は75.9%、κ(カッパ)係数の平均は0.70でした。目視によるレビュー後、自動判定と5名の判定者との間のκ係数の平均は0.67であり、睡眠段階の判定は、N1段階を除くすべての段階において、エポックの少なくとも80%で判定者の過半数と一致した結果となっています。
エポックとは、睡眠脳波解析する時の最小の時間単位で、1エポックは30秒です。
結論:
自動睡眠段階判定とヒトが判定したPSGとの間に高い一致が認められました。
前頭部脳波モニター(Sleep Profiler)は、精密検査として信頼にたるものであるとしています。
今後の展望:
現在、前頭部脳波モニター+後頭部のモニター可能な精密検査装置であるWavebandの検証が進んでいますが、精度はかなり高いです。(参考文献1)
今後、技術の進歩によって、より精度の高いPSGを凌駕するような自動検査装置が開発されることが期待されます。

参考文献1)Wave bandの精度についての論文
Sleep. 2026 Mar 28:zsag069. doi: 10.1093/sleep/zsag069. Online ahead of print.
Multicenter evaluation of the Waveband System for automated sleep assessment in patients with insomnia symptoms Silvia Frati Savietto, Antoine Guillot, Mason Harris, Jay Pathmanathan, Alexander M Chan, M Brandon Westover, Derek Hill, Valérie Bertaina-Anglade, Geoffrey Viardot, Pierrick Arnal, Jacob Donoghue
終わりに

当院では、2026年6月より、自宅での睡眠簡易検査の提供を行っていますが、2026年8月1日より、自宅での精密検査(前頭部脳波モニター装置であるスリーププロファイラーⅡもしくはナイトグラフ)も提供できるようになりました。
いびきや睡眠時無呼吸の検査をお考えの方は、気楽に受診してください。