- 2026年9月6日
背部痛 骨破壊像 フクロウのウインクサイン Winking owl sign について

いとうペインクリニック院長の伊藤です。今回は、骨破壊の画像について、動物の名前が付いたWinking owl sign(以下、フクロウのウインクサイン)についての話をします。
はじめに
椎体(胸椎)の構造について
胸郭の下位腰椎との境界付近の簡易図を示しますが、胸椎には頚椎や腰椎と異なり、肋骨が認められます。赤の〇印で囲った部分は、レントゲンで円く認められる椎弓根と言われる部分となります。骨破壊像の目印となる部分になります。

左図 床スポーツ医学:Vol.39,No.10(2016-2022)飯田博巳,岩堀裕介 一部切り取り変更抜粋
右図 整形外科看護2007vol.12 no.9 12-14整形外科ナース必読! 脊椎疾患BASIC 特集を読む前に 脊椎・脊髄の構造 朝本俊司 より抜粋一部変更
椎体の骨破壊像

上の画像は、胸部の椎体の破壊像です。左の画像は、正面レントゲン像ですが、赤の〇印の中に骨透亮像(椎弓根の消失像)が認められます。右画像は、左レントゲンの同一患者の胸部MRI横断像となります。この画像では、右側椎体部分と椎弓部分の骨破壊がはっきりみてとれます。
フクロウのウインクサインについて

右側の造影CT画像で椎体と椎弓の破壊が確認できます。真ん中のレントゲン正面像においては、胸部の椎体(四角形部分)がフクロウの頭部で、椎弓根の消失している異常像が閉じた眼、対側の正常椎弓根像が開いた眼、棘突起がくちばしに相当しています。左写真のフクロウのウインクのようにみえないでしょうか。
臨床的意味(意義)
原因には脊椎への癌転移がよく知られていますが、椎弓根を破壊するような病態であれば,ほかの疾患でも同様の所見を呈します。
脊椎転移の初期病変はCT画像の解析によって、脊椎転移の多くが椎体後半部にまず病変を形成しその後、椎弓根に進展することが報告されています。
従って、椎弓根部分の破壊をあらわしているwinking owl signを認めた時点では、骨転移はある程度進行した状態のことが多いと解釈できます。
骨転移以外の悪性腫瘍、神経原性腫瘍などの良性腫瘍、結核などの感染症、椎弓根の先天性欠損や低形成でも本サインを呈することがあります。
院長の経験
フクロウのウインクサインは骨破壊が進行した状態で発見されます。
自身の以前の勤務先での経験ですが、高齢女性で、来院前日の夜、急に痛みで立ち上がれなくなったが、今日は何とか頑張って病院に受診した、という患者さんがおられました。問診では。背部の違和感があったが放置していたら、数カ月前より背部痛が発生し、気にはなっていたが、これまで医療機関は受診しなかったとのことでした。背部痛は強く、叩打痛(背骨をたたくとひびくような痛み)があり、レントゲンを実施したところフクロウのウインクサインがみつかりました。多椎体に痛みが認められたため、緊急でMRIを実施したところ、頸椎から胸椎にかけ多発性の進行した骨転移腫瘍がみつかりました。
参考文献
1)臨床画像 Vol.32,No.10増刊号,2016 124-125 放射線科医必携 単純X線写真サイン集 7 winking owl sign(pedicle sign) 本田真希子 野崎太希
2)写真 https://hirao18.hatenablog.com/entry/2024/10/28/230718
ウィンク、いただきました。 – カメラ目線でお願いします。
3)整形外科看護 2025 vol.30 no.1 13-14 腰椎の解剖 長谷川裕一

痛みの原因はいろいろありますが、一番大切なことは、重篤な命に係わるような疾患を除外診断することが大切です。大したことがないと思っていても、実は重大な疾患が隠れていることもあります。何か変だなと感じられた場合は、早めの医療機関受診をお勧めします。