• 2026年9月12日

腰背部痛 レントゲンで脊椎が竹の節ようにみえる バンブー スパイン サイン

いとうペインクリニック院長の伊藤です。今回は、稀な腰痛の原因の1つである強直性脊椎炎の診断に用いられるbamboo spine sign(竹の節サイン:以下、バンブースパイン サイン)についてお話しします。

はじめに

強直性脊椎炎について

強直性脊椎炎(ankylosing spondylitis 以下、AS)は、仙腸関節、脊椎、末梢関節、靱帯や腱の付着部などに炎症をきたす稀な慢性炎症性疾患で、ぶどう膜炎(目の充血や痛み)、間質性肺炎,心血管症状の合併が伴うこともあります。

症状

腰部、殿部、背部の痛みの訴え、夜間痛などが指摘されています。痛みは、運動により軽快し、安静で痛みは軽減しないなどの特徴も指摘されています。膝や手指・手関節などの末梢関節炎から発症することもあり、関節リウマチ(RA)との鑑別も必要になってきます。

性差と発症年齢について

男性に多く、10~20歳代に発症することが多いとされており、一般的には45歳までに発症するとされています。

難病情報センターホームページより抜粋したASの進行の経過図を下に示します。

参考資料:https://www.nanbyou.or.jp/entry/4847  強直性脊椎炎(指定難病271) – 難病情報センター より抜粋記載

難病情報センター記載内容によると、発症から診断確定まで9年前後かかっているようです。

疫学

AS患者さんの場合は、HLA-B27が90%以上の症例で陽性とのことですが、HLA-B27が陽性でも10%未満しかASは発症しないようです。HLA-B27の陽性率は、欧米と比べ日本人では低く、稀な疾患として考えられています。2018年に実施された初めての全国 疫学調査では、日本の強直性脊椎炎の患者数は3200人と推計されました。2023年に実施された第二回目の全国疫学調査では、患者数は4700人と増加が認められました。これは患者数が急増しているのではなく、5年間に病気についての認識が高まり、これまで診断されていなかった患者さんが診断されたことや調査方法として調査対象の診療科を拡大させたことが原因ではないかと考えられています。

バンブー スパイン サイン(bamboo spine sign)について

参考写真・画像 

・https://www.takezaisenka.jp/user_data/parts.php 竹の部位名称について|竹材専科 【国産の青竹を1本から購入できる竹材通販サイト】より抜粋

・臨床画像 Vol.32,No.10増刊号,2016 140-141放射線科医必携 単純X線写真サイン集15 bamboo spine 黒㟢貴久 野崎太希 より抜粋

レントゲン正面像において、バンブー スパイン サインは、複数の椎体間の癒合による架橋形成、すなわち脊椎の強直像をあらわしています。名前の由来は、上下の椎体陰影が連続して波打つようなシルエットを形成し,「竹の節」状に見えることに由来しています。椎間板の外層である線維輪や椎体周囲の靱帯の炎症が、石灰化や骨化をきたし、椎体がお互いに癒合することにより形成されます。

上のレントゲンの矢印部分では、椎間板外層と椎体部分が骨化して連続してつながっており、椎体間で架橋構造が形成されています。

臨床的意味としては、

強直性脊椎炎を代表とする脊椎関節炎に見られます。ASの進行経過としては、MRIでの仙腸関節炎の所見やRomanus lesion(強直性脊椎炎でみられる椎体角の初期炎症所見)よりも遅れて現れるレントゲンの所見で、進行した脊椎の強直(AS)が示唆されます。

Romanus lesionについて

初期のASにおいて、MRI検査にて椎体の前方や後方の角に出やすく、終板(椎体の一部で、椎間板と接する面の部分)近くの骨びらん(溶解像)や骨髄浮腫として捉えられます。

MRIではいわゆるcorner inflammatory lesionとして扱われることもあります。

MRI T1矢状断像  白矢印が Romanus lesion部分となります。

参考文献 

Curr Opin Rheumatol. 2010 Jul;22(4):381-7. doi: 10.1097/BOR.0b013e328339381e.

Magnetic resonance imaging in spondyloarthritis Helena Marzo-Ortega, Dennis McGonagle, Alexander N Bennett より抜粋引用

鑑別疾患

びまん性特発性骨増殖症(diffuse idiopathic skeletal hyperplasia:以下、DISH)では椎体前方を主体とした骨棘形成が特徴で,正面像で典型的なbamboo spineは示さないとされています。

下にASとDISHの正面と側面のレントゲン像を示します。

ASレントゲン正面像と側面像 
DISHレントゲン正面像と側面像

写真 臨床画像 Vol.32,No.10増刊号,2016 140-141放射線科医必携 単純X線写真サイン集15 bamboo spine 黒㟢貴久 野崎太希 より抜粋記載

DISHについて

DISH(びまん性特発性骨増殖症)とAS(強直性脊椎炎)は、どちらも背骨が硬くなり、柔軟性が失われる病気です。柔軟性が失われると、軽い転倒でも脊椎を骨折しやすくなります。違いは、 DISHは炎症を伴わず、加齢や肥満、糖尿病などと関係が深いとされています。

参考資料

写真 https://www.takezaisenka.jp/user_data/parts.php

竹の部位名称について|竹材専科 【国産の青竹を1本から購入できる竹材通販サイト】より抜粋

臨床画像 Vol.32,No.10増刊号,2016 140-141放射線科医必携 単純X線写真サイン集15 bamboo spine 黒㟢貴久 野崎太希

関節外科Vol.31 4月増刊号(2012)115-118  関節リウマチと類縁疾患 強直性脊椎炎 武富栄二

腰痛の原因はいろいろあります。ASは稀な病気で、見逃されている場合も多いと思われます。当クリニックで、バンブー スパイン サインが認められた場合は、整形外科やリウマチ膠原病部門がある専門の施設への紹介と連携をはかります。

少しでも疼痛が緩和し生活の質が向上することを目標に治療を行っています。腰痛でお悩みの方の来院をお待ちしております。

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