• 2025年6月20日

その腰痛、放置しないで!「腰椎椎間板ヘルニア」のサイン・ペインクリニックでの治療法

「いつもの腰痛だろう…」
「最近、足にしびれも出てきたけど、そのうち治るかな…」

そんな風に、つらい腰の痛みや足のしびれを我慢していませんか?もしかしたら、その症状は単なる腰痛ではなく、「腰椎椎間板ヘルニア」のサインかもしれません。

腰椎椎間板ヘルニアは、急性のものと慢性のものがありますが、適切な対処をしないと症状が悪化したり、日常生活に大きな支障をきたしたりすることもあります。しかし、原因を特定し、適切な治療を開始することで、つらい症状を和らげ、快適な生活を取り戻すことが期待できます。

このブログでは、

  • 腰椎椎間板ヘルニアとは何か
  • 見逃したくない腰椎椎間板ヘルニアのサイン
  • 痛みの専門家であるペインクリニックでの診断・治療法

についてお伝えします。ご自身の症状と照らし合わせながら、ぜひ最後までお読みください。


腰椎椎間板ヘルニアとは?意外と知らないメカニズム

私たちの背骨は、椎骨(ついこつ)という骨が積み重なってできており、その腰の部分を「腰椎(ようつい)」と呼びます。そして、一つ一つの椎骨の間には、「椎間板(ついかんばん)」というクッションのような役割をする特殊な軟骨組織があります。

椎間板は、中心部に水分を多く含んだゼリー状の「髄核(ずいかく)」があり、その周りを丈夫な「線維輪(せんいりん)」という組織が取り囲んでいます。この椎間板のおかげで、私たちは腰に加わる衝撃を和らげることができています。

しかし、日常生活での悪い姿勢(長時間の前かがみや中腰)、急に重い物を持ち上げる動作、あるいは喫煙などが誘因となり、線維輪に亀裂が入ることがあります。すると、中の髄核が外に飛び出してしまい、腰椎椎間板の背中側に存在する脊髄や神経を圧迫してしまうのです。この状態が「腰椎椎間板ヘルニア」です。髄核は加齢により変性していきますので、急性の症状は髄核がみずみずしい20~40代の若い方に発生することが多いです。

「ヘルニア=即手術」ではありません。神経ブロックを試してみてください!

「ヘルニア」と聞くと、すぐに手術が必要になるのでは…と心配される方もいらっしゃるかもしれません。しかし、実際には、症状がない場合、画像検査でヘルニアが見つかったとしても、そのままで問題はありません。問題は、症状が出現している症候性のヘルニアの場合です。但し、急性発症のヘルニアは、数カ月でヘルニア自体が自然に小さくなるケースも多いので、まずは保存的に治療されることをお勧めします。症状が、強い場合や日常のQOLが極端に低下する場合は手術が考慮されますが、そういう方でも当ペインクリニックでのブロック治療でよくなられる方も多くおられます。

補足)腰椎椎間板ヘルニアは20代~40代の比較的若い男性に多いとされていますが、もちろんそれ以外の年代や女性にも起こりうる病気です。


これってヘルニア?見逃したくない「腰椎椎間板ヘルニア」のサイン

腰椎椎間板ヘルニアの症状は、腰痛だけではありません。以下のような多様なサインが現れることがあります。

1. 腰痛だけじゃない!こんな症状に注意

  • 腰やお尻の痛み: 初期には腰痛だけの場合もありますが、お尻にも痛みが広がることもあります。
  • 下肢への放散痛・しびれ(坐骨神経痛):
    • 太もも、ふくらはぎ、すね、足先など、片方の足に痛みやしびれが広がるのが特徴的です(まれに両側に出ることもあります)。これは「坐骨神経痛」とも呼ばれます。腰痛なく下肢痛のみの場合も多いです。
    • 痛みの感じ方は、「電気が走るような」「ジンジンする」「ピリピリする」「ズキズキする」など様々です。
    • どの神経が圧迫されるか(ヘルニアができる場所)によって、症状が出る範囲が異なってきます。
      • 例えば、第4腰椎と第5腰椎の間のヘルニアでは、太ももの外側からすねの外側を通り、足の甲部分に痛みが出やすいです。
      • 第5腰椎と仙骨の間のヘルニアでは、太ももの裏側からふくらはぎを通り、足の裏や小指側に症状が出やすいです。
  • 下肢の筋力低下:
    • 足に力が入りにくい、スリッパが脱げやすい、階段でつまずきやすい、といった症状が現れることがあります。下肢の脱力が大きい場合は、手術の適応となりますが、いとうペインクリニックでは、手術の適応と判断すれば連携している病院に連絡し、速やかに手術ができるよう手配します。
  • 感覚の異常:
    • 足の皮膚に触った感覚が鈍くなったり、逆に軽く触れただけでも過敏に感じたりすることがあります。

2. こんな時は要注意!悪化・進行のサイン

  • 安静にしていても痛みが軽くならない、または悪化する。
  • 排尿や排便の異常(膀胱直腸障害): 尿が出にくい、頻尿、便秘になる、尿失禁・便失禁するなどの症状は、重症な神経圧迫のサインである可能性があり、緊急性の高い状態です。すみやかに連携の専門病院への紹介をさせていただきます。非常に稀ですが動くことができないような場合は、救急車を手配し病院搬送を行います。
  • 足の麻痺が進行していると感じる。筋力の極端な低下は、手術適応となります。

3. 自分でできるチェックポイント(姿勢との関連)・・・

  • 前かがみの姿勢(顔を洗う、靴下を履くなど)や、長時間座っていると痛みやしびれが強くなる。
  • 背中を反らすように伸ばしたり、横になって安静にしたりすると症状が和らぐ。
  • くしゃみや咳、いきんだ時などに腰や足に痛みが響く。
  • 重い物を持つと痛みが悪化する。

注意点)後屈で悪化される方もいますが、一般的に前屈で悪化される方が多いです。

「外側ヘルニア」といって、ヘルニアが背中側でなくやや背側の側面方向に飛び出た場合は、MRI検査でもみつけにくい場合があります。症状が強いのに原因がはっきりしない場合は、神経根ブロックが診断に有効なことがあります。


ペインクリニックだからできる! 腰椎椎間板ヘルニアの保存治療

つらい腰椎椎間板ヘルニアの症状、「どこに相談すればいいの?」と悩まれるかもしれません。そんな時、ぜひ選択肢の一つとして考えていただきたいのが「いとうペインクリニック」です。

ペインクリニックとは?

ペインクリニックは、文字通り「痛みの治療を専門とするクリニック」です。当院では、麻酔科医の知識と技術をベースに、痛みの原因を正確に診断し、手術をしない「保存療法」を中心に、痛みの軽減と生活の質の向上を目指します。

1. 丁寧な診断で痛みの原因を特定

  • 当院での診療は、まず患者さんの症状を問診表を用いてお伺いすることから始まります。また、歩様といって、患者様が、診察室に入ってくる際の歩き方を常に意識して観察させていただいています。これは、重症度や病態をはかるうえにおいて、非常に大切です。
  • 問診: いつから、どこが、どの程度痛むのか、どんな時に痛みが強くなるか、生活で困っていることなどをお聞きします。
  • 身体所見・神経学的検査: 医師が実際に体を動かして痛みの出る場所や程度を確認したり(例:SLRテストという、仰向けで膝を伸ばしたまま足を上げる検査)、腱反射を見たり、足の筋力や感覚を調べたりして、神経のどこに問題がありそうかを検査します。
  • 画像検査:レントゲン検査を行います。必要に応じて、MRI検査を行います。MRIは神経や椎間板の状態、炎症所見の有無を詳しく見ることができる非常に有用な検査です。ただし、画像所見だけで判断するのではなく、あくまで症状や診察所見と照らし合わせて総合的に診断します。画像でヘルニアがあっても、それが必ずしも痛みの直接の原因とは限らないからです。

当院の特長として・・・MRI・CT検査が待ち時間が少なく行えるメリットがあります。徒歩1分以内の連携クリニックへの予約をとらせていただきます。最短では、その日のうちに実施することも可能です。

2. ペインクリニックでの主な治療法(保存療法)

診断に基づき、患者さん一人ひとりの状態に合わせた治療法を提案します。

  • 薬物療法:
    • 消炎鎮痛薬(NSAIDsなど): まずは炎症を抑え、痛みを和らげる薬を使います。内服薬だけでなく、湿布や塗り薬なども活用します。
    • 神経障害性疼痛治療薬: 神経が傷つくことで生じる特有の痛み(ジンジン、ピリピリした痛みなど)に対して効果が期待できる薬です。
    • その他、筋肉の緊張を和らげる筋弛緩薬や、血流を改善する薬、症状によっては漢方薬などを組み合わせて処方することもあります。
  • 神経ブロック注射: 麻酔科医のペインクリニックの大きな特徴で、手術の際の疼痛管理にも使用していた治療法の一つです。当院では、病院で使われている外科用のCアーム(上の写真)を駆使して、痛みの原因となっている神経の近くや、炎症が起きている場所に、局所麻酔薬やステロイド薬を安全に的確に投与することで、痛みを抑える治療を行っています。
    • 効果: 痛みの信号をブロックすることで、つらい痛みを和らげます。また、炎症を抑えたり、血流を改善したりする効果も期待でき、痛みの悪循環を断ち切ることを目指します。
    • 種類: ヘルニアの部位や症状に合わせて、硬膜外ブロック(脊髄神経の通り道である脊柱管に薬を注入)、神経根ブロック(脊髄より分岐した特定の神経根に直接アプローチ)、トリガーポイント注射(痛みの引き金になっている筋肉のしこりに注射)など、様々な種類のブロック注射があります。
    • 安全性・手軽さ:外来で短時間で行うことができます。医師が安全に配慮して行います。
  • 日常生活指導:
    • 腰に負担のかからない正しい姿勢や動作の指導、日常生活で気をつけるべき点についてもアドバイスします。
  • コルセット療法:
    • 痛みが強い時期に、腰部を安定させ、負担を軽減するために軟性のコルセットをお勧めすることがあります。

ペインクリニックでは、これらの治療法を単独で行うだけでなく、患者さんの状態に合わせて組み合わせることで、より効果的に症状の改善を目指します。「手術はなるべく避けたい」とお考えの方にとって、ペインクリニックは心強い味方となるでしょう。


手術が必要になるケースとは?

腰椎椎間板ヘルニアは保存療法でまずは症状改善をめざしますが、以下のような場合には手術が検討されることもあります。

  • 適切な保存療法を十分な期間行っても、日常生活に支障をきたすほどの強い痛みが改善しない場合。
  • 足の麻痺(筋力低下)が進行し、歩行が困難になるなど、日常生活に大きな支障が出ている場合。
  • 排尿・排便障害(膀胱直腸障害)が現れた場合。これは緊急手術が必要となることがあります。

このような場合、いとうペインクリニックから、連携している手術可能な脊椎専門の外科医(整形外科や脳神経外科など)のいる病院へ速やかにご紹介しています。但し、ご本人の希望する病院への紹介も可能です。


つらい腰痛・足のしびれは我慢しないでペインクリニックへ

腰椎椎間板ヘルニアは、決して珍しい病気ではありません。そして、そのサインは腰痛だけでなく、足のしびれや筋力低下など多岐にわたります。「もしかして?」と思ったら、自己判断せずに、まずは専門医にご相談ください。

ペインクリニックでは、痛みの専門家が患者さん一人ひとりの症状と真摯に向き合い、手術以外の様々な治療法を駆使して、つらい痛みからの解放と生活の質の向上を目指します。

「この痛み、どこに行けばいいんだろう…」
「手術はしたくないけど、痛みは何とかしたい…」

そんなお悩みをお持ちでしたら、ぜひ一度、いとうペインクリニックの扉を叩いてみてください。早期発見・早期治療が、より良い回復への近道です。つらい痛みを我慢せず、一緒に改善への一歩を踏み出しましょう。

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