- 2026年3月24日
睡眠時無呼吸症候群に対するCPAP導入について
いとうペインクリニックでは、2026年4月2日(木曜日)より簡易検査を導入し、CPAPの治療を開始します。
睡眠時無呼吸症候群とは
睡眠中に無呼吸や低呼吸を繰り返す疾患で、サス(SAS:Sleep Apnea Syndrome:以下SASと略す)とも言います。SASは、睡眠を障害し、日中の過度の眠気を引き起こしたり、生活習慣病(高血圧、糖尿病など)との関連性や精神疾患や認知機能低下などとの関連も指摘されています。SASは肥満に多く見られますが、西洋人に比べ顎が小さい東洋人は、肥満がなくともSASになっておられる方も多いと考えられています。狭心症などの虚血性心疾患や心不全、肺疾患患者においてはSASが原疾患を悪化するとも考えられています。
注意:上気道閉塞による、閉塞性睡眠時無呼吸症候群の場合がほとんどですので、以下睡眠時無呼吸症候群(SAS)は閉塞性についての話となります。

図 FUKUDA DENSHI CPAP | フクダ電子
https://www.fukuda.co.jp/medical/inhome_medical/service/cpap.html より抜粋
参考資料
・JAMA. 2000 Apr 12;283(14):1829-36. doi: 10.1001/jama.283.14.1829.Association of sleep-disordered breathing, sleep apnea, and hypertension in a large community-based study. Sleep Heart Health Study F J Nieto , T B Young, B K Lind, E Shahar, J M Samet, S Redline, R B D’Agostino, A B Newman, M D Lebowitz, T G Pickering
・Sleep Med Rev. 2020 Apr:50:101250. doi: 10.1016/j.smrv.2019.101250. Epub 2019 Dec 12.
Obstructive sleep apnea, cognition and Alzheimer’s disease: A systematic review integrating three decades of multidisciplinary research Omonigho M Bubu , Andreia G Andrade , Ogie Q Umasabor-Bubu, Megan M Hogan, Arlener D Turner , Mony J de Leon, Gbenga Ogedegbe, Indu Ayappa, Girardin Jean-Louis G , Melinda L Jackson , Andrew W Varga , Ricardo S Osorio
SASの重症度について
無呼吸低呼吸指数(AHI:Apnea Hypopnea Index)で評価します。1時間当たり無呼吸と低呼吸が何回あったかで、重症度が決まります。
無呼吸(Apnea)
無呼吸を判定するセンサーの最大振幅が基準値より90%以上の振幅の低下が10秒以上持続したものを1回とカウントします。
低呼吸(Hypopnea)
低呼吸を判定する振幅の低下が、70%以上でかつ酸素飽和度が3%以上低下した場合を、1回としてカウントします。

図 FUKUDA DENSHI Pul Sleep LS-140 サポートBOOKより抜粋
AHIの値で、SASの重症度は下記の表のように決定されています。

1時間に5回未満の無呼吸は正常と考えられます。
AHIが、30回以上は重症SASとなります。
SASの治療:CPAP (Continuous Positive Airway Pressure)について
日本語では、持続陽圧呼吸療法といいますが、一般的にはCPAP(シーパップ)と呼ばれています。SAS患者に対し、呼吸にあわせて気道に適切な圧力を加えた空気を送り込むことで、気道の閉塞を防止し無呼吸・低呼吸をなくす治療法です。

図 フクダ電子ホームページ
https://www.fukuda.co.jp/medical/inhome_medical/service/cpap.html より抜粋
検査について
SASの治療でCPAPを導入するには、無呼吸の重症度についての検査が必要です。
検査には精密検査であるポリソムノグラフィー(PSG)検査と簡易検査の2つがあります。
精密検査 ポリソムノグラフィー検査(以下、PSGと略す)
睡眠検査のゴールデンスタンダードとされています。
PSGは、睡眠中のさまざまな生理的変化を記録・分析する検査ですが、脳波、眼球運動、鼻・口における気流(呼吸)の検知、おとがい筋の動きを検知おとがい筋の筋電図、胸壁・腹壁の換気時の運動記録、動脈血酸素飽和度測定が測定されます。これは主に医療機関に1泊入院して行われる入院検査です。
レム睡眠行動障害、ナルコレプシー、睡眠中のてんかんなどの診断にはポリソムノグラフィーによる脳波測定が必須となります。SASにおいても中枢性睡眠時無呼吸症候群の判定や閉塞性睡眠時無呼吸症候群の睡眠時の質(覚醒・ノンレム睡眠N1~N3・レム睡眠)をみる場合にもポリソムノグラフィー(PSG)が必須となります。CPAPの導入には、PSG検査では、中等症SASである1時間に20回以上の無呼吸低呼吸患者に適応されますが、簡易検査(重症SAS 1時間に40回以上の無呼吸低呼吸患者に限る)に比べ、適応される範囲が広いです。
簡易検査
鼻腔からの気流の変化と動脈血酸素モニターにより酸素飽和度の低下(体の中の酸素化の低下)を8時間にわたって自動的に計測する簡易検査です。脳波の測定はできないため、脳波を用いた睡眠の質についてのデータはありません。
しかし、CPAP導入に必要な、1時間当たりの無呼吸低呼吸回数(以下、AHIと示す)を求めることができます。
しかし、簡易検査でAHIが40を超えない限り、CPAPを使用することは保険上できません。40未満の場合で、AHIが20以上の中等症の睡眠時無呼吸症候群の疑いが認められた場合は、追加検査として精密検査(PSG)が行われます。
何度も言いますが、PSGは、睡眠治療の評価においてのゴールデンスタンダードです。可能であれば、PSGの実施は、最も良い検査です。
注:SAS研究においては、ポリソムノグラフィーの結果と同様に、簡易検査の結果も利用されています。
しかし、実施においてのいくつかのデメリットもあります。以下に、院長自身が思うPSG検査のデメリットについてと、簡易検査のメリット・デメリットについてお話しします。
●高額
安全精度管理下で行われる場合は、終夜睡眠ポリグラフィーの点数が4,760点+脳波検査判断料180点+入院費用になります。以前、院長自身が、所属していた国立大学病院の睡眠センターでポリソムノグラフィーの検査入院したところ、食事なしの1泊入院の3割負担でおよそ3万円強であったと思います。とにかく高いです。
注意:費用は施設によって異なってきます。
●予約待ちに時間がかかる。
簡易検査と違い、いつでもすぐに検査が実施できるわけではありません。検査のための予約待ちをしないといけません。
●体に装着する装置が多い
体中に、脳波モニター以外にもいろいろと睡眠を測定するための装備をしないといけません。技師さんが装着してくれるのですが、40分ぐらい装着に時間がかかります。

参考図 全日本病院出版会 2017年6月15日 第1版 睡眠医療を知る 睡眠認定医の考え方 中山明峰 著 より抜粋 一部変更
全身モニターだらけですが、頭部は特にモニターがずれないよう、覆面レスラーのような感じでネットがかぶれされることが多いと思います。
●睡眠環境がいつもと異なる
検査入院の場合は、睡眠環境がいつもと異なることによる影響も考えないといけません。また、普段と異なった環境で寝られない人もいます。そういう方には、睡眠薬が投与されることもあります。
●睡眠結果がうまく取れない場合もある
その場合、また後日入院検査しなければなりません。
簡易検査のメリットは、ポリソムノグラフィーのデメリットで述べた点が、逆に、メリットとなります。
簡易検査は、医師が睡眠時無呼吸症候群の疑いがあると医師が、判断した場合に保険適用となります。
メリット
○検査にかかる金額が、PSG検査に比べ比較的コストがかからない
終夜睡眠ポリグラフィー(その他)720点
脳波検査判断料 180点上記に加え、初診料などがかかります。3割負担の場合、検査費用はおよそ3,000円程度かかります。
○自分の好きな日から始められる
○装着が簡単です

FUKUDA DENSHIPulSleep LS-140 装着マニュアルより抜粋 図 一部変更
○睡眠環境がいつもと同じ自宅での検査となります
○最大3日間、通常2日間にわたって検査が実施できます
デメリット
●PSGに比べ睡眠している時間、睡眠の質については不明瞭
●AHIが40以上(重症SAS)でないとCPAPを保険で使用することはできない
しかし、2026年、診療報酬改定により、6月よりCPAP導入の門戸が広がります。
以下に改訂点と、大きく変更になった点について説明したいと思います。

CPAP使用の為のAHIの上限が引き下げられます。
今までSASが、AHI30台で重症であってもAHIが、40未満の場合は、入院でのPSG検査を実施しなければなりませんでした。今回、簡易検査でAHIが30台の患者さんにも、CPAPがすぐに導入できるようになります。また、PSGを用いて、AHIが20以上とされていた値が、15以上となり中等度以上のSAS患者さんに広くCPAPが使用できるようAHI値が変更された点はよかったと感じています。
CPAPを外来で管理するときに発生する点数(2026年、診療報酬改定後)
在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2・・・・240点(2026年3月現在250点)
持続陽圧呼吸療法充実管理体制加算・・・・15点(新設、施設基準有)
在宅陽圧呼吸療法用治療器加算・・・・・・960点
在宅持続陽圧呼吸療法材料加算・・・・・・100点
合計13150円(10割負担)
CPAPを使用する割合が高いと考えられる年齢は壮年期の方です。
3割負担で、月におよそ5000円程度となります。
「持続陽圧呼吸療法充実管理体制加算」(15点)は、2026年度の診療報酬改定で新設される加算です。これは、在宅での持続陽圧呼吸療法(CPAP)を受けている方に対して、医療機関がより充実したモニタリング体制で管理していることを評価するものです。

いびきが大きい、呼吸が止まっていると家人から指摘されている方、よく寝たはずなのに疲れが取れない方、実は閉塞性睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性があります。一度、当院にて検査をしてみませんか?いとうペインクリニックは、あなたの痛みに心から寄り添い、快適な毎日を取り戻すためのお手伝いをさせていただきます。