• 2026年3月18日

女性の片頭痛について 妊娠・授乳期の注意点について

いとうペインクリニックの院長の伊藤です。

今日は女性の片頭痛の話となりますが、特に、妊婦さんや授乳中に注意するべきことについてお話しします。

女性の片頭痛について・・・

日本人の15歳以上の片頭痛の有病率は8.4%と言う報告がありますが、女性は、男性の2~3倍も有病率が高く、特に20~40代の女性に多くみられます。これには、女性ホルモンのエストロゲンが関与していると考えられています。1)2)

妊娠可能年齢の女性に多い(20~40代)片頭痛の対処法として、妊娠・授乳期のお薬の使用方法について関心を持たれる方は多いと思いますので、以下に2021年、頭痛の診療ガイドラインに沿った、適正と思われる治療法と注意点について抜粋して説明します。

注:ガイドラインは完璧なものではありません。しかし、専門家の経験と科学的根拠(学術論文など)を学会で評価し、スタンダードな治療法としてまとめられたものです。常識を逸脱したような治療方法をすすめるようなものではありませんので、今回はガイドラインの内容に沿ってお話しします。

参考文献

1)Cephalalgia 1997; 17(1):15-22.  Prevalence of migraine in Japan : a nationwide survey.
  Sakai F, Igarashi H.  

2) Headache 2004; 44(1):8-19. Population-based door-to-door survey of migraine in Japan : the Daisen study  Takeshima T, Ishizaki K, Fukuhara Y, Ijiri T, Kusumi M, Wakutani Y et al.

初めに

妊娠初期から後期にかけて、片頭痛は60~80%で軽減すると報告されています。一方、分娩後は、1か月以内に半数以上が、再発するということです。

また、最終月経~27日は、無反応期(薬の影響をうけにくい期間)と考えられていますので、頭痛薬使用中に妊娠が分かった場合もあまり心配しすぎないでください。

一方、妊娠初期4週~12週は器官形成期にあたる為、できうる限り薬は控えた方がよいと考えられています。

13週以降は、催奇形性リスクは少なくなり、胎児機能障害や胎児毒性の関係が問題となってきます。これら妊娠中期以降、胎児毒性を示すものとして、イブプロフェンやジクロフェナクなどのNSAIDs、制吐剤のドンペリドン、高血圧薬治療や片頭痛の予防療法として使用されるACE阻害剤やARBなどがガイドラインに示されています。

特に痛みに対して市販されているイブプロフェンやジクロフェナクなどNSAIDsを安易に頻用することには注意が必要です。

妊娠期の片頭痛の薬について

急性期治療薬

アセトアミノフェンが薦められていますが漫然とした長期使用は慎重にすべきです。

制吐剤のメトクロプラミドは悪阻に使用されているが安全性は高いと考えられています。

トリプタン製剤の安全性は確立していないものの、妊娠初期の催奇形率の増加は報告されておらず、重症発作時の使用は考慮してもよいと考えられています。

注:一方、CGRP受容体拮抗薬はまだ胎児への影響がはっきり示されていませんので使用は控えた方がよいと考えます。

予防薬

妊娠時、予防薬の投与は投与しない方がよいと考えられています。必要な場合は、経験的に、βブロッカー(プロプラノロール、メトプロロール)、少量のアミトリプチリン(30㎎以下/日)の使用が、考慮されています。

授乳中

アセトアミノフェンや、NSAIDs製剤の中で母乳移行率が低いイブプロフェンとジクロフェナクは使用可能とされています。トリプタン製剤の中では、スマトリプタンとエレトリプタンが比較的安全性が高いと考えられ使用されています(添付文書上、スマトリプタンは12時間、その他のトリプタン製剤は24時間授乳を避けると記載があります)。

予防薬

欧米では、βブロッカー(プロプラノロール、メトプロロール)、少量のアミトリプチン、マグネシウムの使用が考慮されています。

妊婦さんの内服薬について詳しく知りたい方

国立成育医療研究センター「妊娠と薬情報センター」のWEBサイトをご参照ください。
妊娠と薬情報センターWEBサイト

参考文献 頭痛の診療ガイドライン2021年 

頭痛は、生活の質に大きな影響を与えます。頭痛でお悩みの方は、一度当院にいらしてください。いとうペインクリニックは、あなたの痛みに心から寄り添い、快適な毎日を取り戻すためのお手伝いをさせていただきます。

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