• 2026年2月14日

ナルティーク🄬(一般名:リメゲパント) 新しい頭痛薬 

いとうペインクリニック院長の伊藤です。今回は、新しい片頭痛の薬ナルティーク🄬75mgが2025年12月16日、使用可能となりましたのでこのお話をしたいと思います。

図 ファイザー製品情報サイト より抜粋

今まで、CGRP受容体に作用する片頭痛薬としては、エムガルティ🄬、アジョビ🄬、アイモビーク🄬の3つが使用可能です。これら片頭痛薬は、すべて片頭痛の予防薬として販売されています。

今回の新薬であるナルティーク🄬は、片頭痛の予防薬としてだけではなく、急性期の片頭痛発作時も使用できる点が特長です

CGRP関連の片頭痛薬 製品は下記のとおりです。

  • エムガルティ🄬(一般名:ガルカネズマブ)・・・抗CGRP抗体 
  • アジョビ🄬(一般名:フレマネズマブ)・・・・CGRP拮抗阻害薬
  • アイモビーク🄬(一般名:エレヌマブ)・・・・・抗CGRP抗体
  • ナルティーク🄬(一般名:リメゲパント)・・・・CGRP拮抗阻害薬

作用機序 

CGRPは体内に広範に発現しているペプチドで、脳を包む膜(硬膜)の三叉神経終末から片頭痛時に放出されます。CGRPによる情報伝達が、片頭痛を引き起こすと考えられています。

CGRP拮抗阻害薬と抗CGRP抗体は、神経伝達物質であるCGRPの働きを抑制し、結果、片頭痛の発生を抑制すると考えられています。
ナルティーク🄬(一般名:リメゲパント)は、アジョビ🄬(一般名:フレマネズマブ)と同様にCGRP受容体に働いてCGRPによる①②③の働きを拮抗的に抑制します。

予防薬として 

2日に1回服用することで、片頭痛発症予防効果が期待できます。

国内の第Ⅲ相試験結果について

日本で行われた片頭痛患者で行われた試験において、リメゲパント群およびプラセボ群(偽薬を投与された群)の参加者は、参加段階でそれぞれ月平均9.3および9.0日の片頭

痛日を報告していました。観察期間から9〜12週において、リメゲパント群およびプラセボ群の両群において、月間の片頭痛平均発生日数が減少したことが示されています。リメゲパント群は、平均2.4日発作が減少しています。プラセボは、1.3日の減少であったとのことです。1)

参考文献1)Headache. 2025 Sep;65(8):1403-1412. doi: 10.1111/head.14995. Epub 2025 Jun 20.

Efficacy and safety of rimegepant for the preventive treatment of migraine in Japan: A double-blind, randomized controlled trial Shigekazu KitamuraYasuhiko MatsumoriToshimasa YamamotoTomofumi Ishikawa Yuko HoshinoHiroki YoshimatsuAlexandra ThiryAkio Arakawa Robert CroopTerence FullertonFumihiko SakaiTakao Takeshima

海外の第Ⅱ/Ⅲ相試験結果について

観察期間から9〜12週の月平均片頭痛日数の変化は、リメゲパントで−4.3日、プラセボで−3.5日でした。リメゲパントは、月当たりプラセボに対し0.8日の有意差をもって減少したことが示されています 。2)

こういった結果をみていつも思うことではあるのですが、プラセボであっても効くと考えて内服するとある程度の効果が出るのは興味深いですね。

参考文献2)Lancet. 2021 Jan 2;397(10268):51-60. doi: 10.1016/S0140-6736(20)32544-7. Epub 2020 Dec 15. Oral rimegepant for preventive treatment of migraine: a phase 2/3, randomised, double-blind, placebo-controlled trial  Robert Croop Richard B Lipton David Kudrow David A Stock Lisa Kamen Charles M Conway Elyse G Stock Vladimir Coric Peter J Goadsby 

急性発作にも有効

ナルティーク🄬は半減期が11時間と短く発作時の治療にも使用できます。

急性期片頭痛発作の抑制について

文献①

片頭痛の病歴が1年以上あり、月に2~8回の中等度または重度の片頭痛発作を有する成人を、片頭痛発作1回の治療として、リメゲパント75mgを経口投与する群と、対応するプラセボを投与する群に無作為に割り付け、投与2時間後に、疼痛の消失と患者が特定した最も煩わしい症状(疼痛以外)の消失について評価しています。

結果:

平均年齢は40.6歳で、88.7%が女性であったと記載があります。投与後2時間で疼痛が消失した患者の割合は、リメゲパント群で19.6%、プラセボ群で12.0%でした。投与2時間後に最も煩わしい症状が消失した患者の割合は、リメゲパント群で37.6%、プラセボ群で25.2%でした。

下記参考文献データより表作成

補足:絶対差はリメゲパントを投与したときの効果を表しています(絶対差:リメゲパントで痛み消失した割合(%)と最も煩わしい症状が消えた割合(%)それぞれからプラセボの効果を差し引いた値を示しています)。95%信頼区間とは、95%の確率をもって、絶対差の精度の幅を示しています。P値は統計的な有意差をみています。2つの間の差は有意であったことが分かります。

参考文献 ①N Engl J Med. 2019 Jul 11;381(2):142-149. doi: 10.1056/NEJMoa1811090.Rimegepant, an Oral Calcitonin Gene-Related Peptide Receptor Antagonist, for MigraineRichard B Lipton Robert Croop Elyse G Stock David A Stock Beth A Morris Marianne FrostGene M DubowchikCharles M ConwayVladimir Coric Peter J Goadsby

文献②

片頭痛の急性期痛患者に対し行われた文献での報告ですが、2018年2月27日から8月28日の間に1811名の参加者が募集され、適格性が評価されました。

下記参考文献データより表作成

最終、リメゲパントn=669人、プラセボn=682人で評価され、内服投与後2時間時点で、リメゲパントは痛みの消失21% に対して、プラセボ群は 11%(p<0.0001;リスク差10、95% CI 6–14)でした。および最も厄介な症状の消失については、リメゲパント35%に対し、プラセボ 27%(p=0.0009、リスク差8、95% CI 3–13)でした。主要評価項目においてプラセボよりリメゲパントは優れていました。また、治療を受けた参加者は重篤な有害事象を報告しませんでした。

参考文献② Lancet. 2019 Aug 31;394(10200):737-745. doi: 10.1016/S0140-6736(19)31606-X. Epub 2019 Jul 13.

Efficacy, safety, and tolerability of rimegepant orally disintegrating tablet for the acute treatment of migraine: a randomised, phase 3, double-blind, placebo-controlled trial Robert CroopPeter J GoadsbyDavid A StockCharles M Conway Micaela ForshawElyse G StockVladimir CoricRichard B Lipton 

文献③

単発の片頭痛発作に対してリメゲパント75㎎とスマトリプタン(1B/1D受容体作動薬)100 mgおよびプラセボでの、投与後2時間で痛みの解放について、リメゲパント75㎎では31.4%、スマトリプタン100㎎では35%、プラセボでは15.3%が痛みから解放されています。

スマトリプタンと比較してもそん色のない急性期の片頭痛治療薬であることが示されていると思います。

参考文献③ Cephalalgia. 2014 Feb;34(2):114-25. doi: 10.1177/0333102413500727. Epub 2013 Aug 21.

BMS-927711 for the acute treatment of migraine: a double-blind, randomized, placebo controlled, dose-ranging trial Ronald Marcus Peter J GoadsbyDavid DodickDavid StockGeorge ManosTanya Z Fischer

新薬のメリット・デメリットについて

メリット

急性期にも使用できるスマトリプタンが有効でない場合も追加して使用することができます。また予防薬としての使用もできます。

経口薬であること。OD錠であり口腔内で速やかに崩壊し水なしでも服用しやすいです。先行販売の3製剤は、オートインジェクターやペンタイプであり、穿刺による痛みの副作用が発生しますが、内服薬のナルティークは針を刺すというストレスがありません。

常温で保管できるエムガルティ・アジョビ・アイモビークは、冷所での保管(2~8℃)が必要ですが、ナルティークは常温保存で大丈夫です。

デメリット

発症予防で服用したその日に片頭痛が発症した場合、ナルティーク🄬は追加使用できません。

高価です。予防的に内服する場合は、先発の3製剤と比較してほぼ同等です。片頭痛発作時の使用時も1回薬価で2923.2円かかります。

  • 予防薬と考えると・・・1か月の薬価の比較
  • エムガルティ🄬(オートインジェクター42638円/キット)  
  • アジョビ🄬(オートインジェクター39064円/キット)
  • アイモビーク🄬(皮下注70mgペン38980円/キット) 
  • ナルティーク🄬(OD錠75mg2923.2円/錠) 43848円/15本

その他のナルティーク🄬(OD錠75mg)の使用注意事項

18歳未満の患者さんの臨床試験は実施されておらず、安全性が担保できない
(基本18歳以上)。

高度の腎機能障害患者さん、高度肝機能障害患者さんは、安全性が担保できない。
(使用禁)

妊婦さん・授乳は、治療上の有益性が、危険性を上回ると判断された場合のみ使用。

副作用として1%以上に便秘の発生が報告されています。


頭痛でお悩みの方は、ぜひ一度、いとうペインクリニックにご相談ください。あなたの痛みに心から寄り添い、快適な毎日を取り戻すためのお手伝いをさせていただきます。

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