• 2025年5月17日

原因がよくわからない腰痛「非特異的腰痛症」と診断された方へ

 原因不明でも諦めないで!

こんにちは。
いとうペインクリニックの院長 伊藤一樹です。

「腰が痛くて病院に行き、レントゲンやMRIまで撮ったのに、お医者さんから『画像上、特に悪いところはないですね』と言われた…。」
「結局、原因は何なの?なんだか曖昧な診断でスッキリしないし、不安…。」

もしかしたら、あなたも同じような経験をされたことがあるかもしれません。
原因がよくわからない腰痛「非特異的腰痛症」に、戸惑いや不満を感じてしまうお気持ち、とてもよく分かります。


「非特異的腰痛」とは? – 原因がはっきりしない腰痛のこと

非特異的腰痛とは、簡単に言えば「様々な検査をしても、腰痛の原因となる特定の病気や明らかな異常(骨折、腫瘍、神経の明らかな圧迫など)が見つからない腰痛」の総称です。以前は、腰痛の85%にものぼり、診断できる椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの腰痛は全体の15%程度とも言われていました。

近年、新しい疾患の概念やブロック注射を使った効果判定から、問診・理学所見・画像診断のみでは原因がよくわからなかった腰痛に対しても以前より正確に診断を行うことが可能となっています。2015年実施された山口県内の整形外科医院での初診患者に対する腰痛診断の報告によると、腰痛症患者の78%は診断可能であったとされています。この診断においては、神経ブロックによる痛み軽減効果の有無も取り入れられています。以前より診断能力は格段に上昇していますが、それでも原因がはっきりしない腰痛が22%も存在します。


実は「悪くない」診断? – 重大な病気を除外できた証拠

しかし、患者さんの立場からすると不安に感じるかもしれませんが、「非特異的腰痛」という診断は、決して悪い知らせばかりではありません。

むしろ、見方を変えれば「あなたの腰痛の原因として、少なくとも、すぐに対処が必要な重大な病気の可能性は低いですよ」ということを意味しているのです。

具体的には、以下のような病気が(現時点では)除外できたと考えられます。

  • 腫瘍(がんの骨への転移など)
  • 骨折(転倒などによるもの、骨粗しょう症による圧迫骨折など)
  • 背骨や関節の明らかな変形、ひどい曲がり
  • 炎症性の病気(強直性脊椎炎など、全身や背骨を攻撃する病気)
  • 神経根症候群(神経の根元が強く圧迫されたり傷ついたりしている状態)
  • 馬尾症候群(排尿・排便障害などを伴う、緊急性の高い神経の圧迫)

これらの深刻な病気の可能性が低いと分かるだけでも、少しホッとできるのではないでしょうか?


非特異的腰痛の治療法:手術はほとんど不要!運動と心のケアが中心に

非特異的腰痛に対して、外科的な手術が必要となるケースは非常に稀です。


原因不明の腰痛でも、できることはあります!

「非特異的腰痛症」とは、特定の病気が原因ではない腰痛の総称であり、原因を特定することが難しいものです。「原因不明」と言われると不安になるかもしれませんが、「打つ手がない」わけでは決してありません。ブロック注射などは即効性があり、痛みの診断と治療において非常に有用な方法ですが、原因がよくわからなくても、ブロック注射が奏功するような症例も多々経験します。

一方、腰曲がり症(後湾症)の腰痛、サルコペニア(筋肉の減少)に起因する腰痛、心因性の腰痛などに関しては、ブロック注射のみで効果が発揮しにくいです。また、脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアなど、一般に神経ブロックが用いられる疾患でも症例によっては、ブロックが全く効果ない症例も存在します。

数回のブロック注射で効果がない場合は、安易に注射を続けるのでなく、いとうペインクリニックでは、内服薬や貼付剤などの外用薬や消炎鎮痛リハビリなどの提案も行っています。症例によっては、手術や専門医への紹介も積極的に行っています。

いとうペインクリニックでも、様々な治療の選択肢の中から、患者様一人ひとりの状態に合わせた最適な治療プランをご提案し、痛みの改善をサポートできればと考えております。「原因が分からないから仕方ない…」と諦めてしまう前にどうぞお気軽にお問い合わせください。

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