• 2025年5月17日

ぎっくり腰、もしかして椎間関節症?原因・症状・治療法を専門家情報から徹底解説!

「朝起き上がるときに腰がズキッとする」
「腰を反らすと痛みが走る」
「長時間座っていると、立ち上がるのがつらい」

もしかしたら、そのつらい腰痛の原因は「椎間関節症(ついかんかんせつしょう)」かもしれません。

こんにちは!いとうペインクリニックの院長 伊藤一樹です。
今回は、腰痛の意外な原因として注目されている「椎間関節症」について、原因、症状、治療法について解説していきます。レントゲンでは異常なしと言われたけれど痛みが続く方、ぎっくり腰を繰り返している方も、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。


そもそも「椎間関節」ってどこ?

背骨は、一つ一つの「椎骨(ついこつ)」という骨が積み重なってできています。その椎骨と椎骨の間、背中側にある左右一対の小さな関節が「椎間関節」です。

この椎間関節があるおかげで、私たちは体を前に曲げたり、後ろに反らしたり、ひねったりすることができます。まさに、背骨のスムーズな動きを支える縁の下の力持ちなんです。

椎間関節症とは、この大切な椎間関節に炎症が起きたり、加齢などによって変形したりして、痛みが生じている状態を指します。痛みの原因となる神経は、椎間関節を支配する脊髄から出てくる神経根から分岐した後枝内側枝と言われる神経が関与しています。


意外と多い?椎間関節症が原因の腰痛

「腰痛の原因といえば椎間板ヘルニア」と思われがちですが、実は椎間関節症が原因であるケースも非常に多いことがわかってきています。

日本腰痛診療ガイドライン(2019年版)によると、腰痛の原因を詳しく調べた研究では、椎間関節症が22%と、他の原因と比較しても高い割合を占めていると報告されています。


こんな症状、ありませんか?椎間関節症のサイン

椎間関節症の痛みは、「体を動かした瞬間」にズキッと鋭い痛みを感じるのが特徴です。

  • 腰を後ろに反らすと痛い
  • 体をひねる動作(ゴルフのスイングなど)で痛い
  • 前かがみから体を起こそうとすると痛くてすぐ伸ばせない
  • 椅子から立ち上がる時寝返りをうつ時に痛い
  • 背骨の真ん中より少し外側(指2本分くらい)を押すと痛い場所がある
  • 長時間座っていると痛くなり、立ち上がるのに時間がかかる
  • ひどくなると、じっとしていても痛む、咳やくしゃみで響くことも
  • 痛みは主に腰ですが、お尻や太ももの外側に響くこともある

「ぎっくり腰」も、急性の椎間関節症が原因である場合があります。

一方、椎間板ヘルニアでよく見られるような足のしびれは、椎間関節症では比較的少ないとされています。

【簡単セルフチェック(参考)】

腰を少し後ろに反らしながら、ゆっくりと左右どちらかに体をひねってみてください。この時に痛みが出ると、椎間関節症の可能性があります。

※あくまで目安です。自己判断せず、必ず専門医に相談しましょう。


なぜ痛くなるの?椎間関節症の主な原因

椎間関節症が起こる原因は様々ですが、主に以下のようなものが挙げられます。

  • 加齢: 年齢とともに、膝などの関節と同じように椎間関節もすり減ったり変形したりします(変形性関節症)。
  • 負担の蓄積: 日常生活での悪い姿勢、長時間の同じ姿勢、スポーツや仕事での繰り返しの負担などが、椎間関節にダメージを与えます。
  • 急な負荷: 重い物を持ち上げたり、不用意に腰をひねったりした際に、関節に負担がかかり炎症を起こします(ぎっくり腰)。
  • 椎間板の問題: 背骨の前方にあるクッションの役割をする椎間板が変性して不安定になると、その分、背骨の後方組織である椎間関節にかかる負担が増え、炎症や変形が起こりやすくなると考えられています。

どうすればいい?診断と治療のステップ

「もしかして椎間関節症かも?」と思ったら、まずは整形外科ペインクリニックを受診しましょう。

【診断】

医師は、以下のような方法で診断します。

  • 問診: いつから、どんな時に、どのように痛むか詳しく聞きます。
  • 身体検査: 痛みの場所を押したり(圧痛)、体をひねったりして原因を探ります(Kempテストなど)。
  • 画像検査: レントゲン検査や場合によってはMRI・CT検査を行い、骨の変形や他の病気(ヘルニア、狭窄症など)がないか確認します。
  • 椎間関節ブロック注射/後枝内側枝ブロック: 痛みが疑われる椎間関節や後枝内側枝に直接麻酔薬を注射します。これで痛みが和らげば、椎間関節症である可能性が非常に高くなります(診断的治療)。

【治療法】

治療法は症状の程度や原因によって様々ですが、主に以下のような選択肢がありますが、椎間関節部分の痛みである場合は、椎間関節の痛みに関与する後枝内側枝と言われる神経へのブロック注射が奏功する場合が多いです。

  1. 保存療法(基本の治療)
    • 安静: 痛みが強い時期は無理せず安静にします。
    • 薬物療法: 痛みや炎症を抑える飲み薬や湿布を使います。
    • リハビリテーション: (注)急性腰痛時は実施しません。
    • 物理療法: 温熱療法や電気治療で血行を促進し、痛みを和らげます。

(注)急性腰痛時は実施しません。

  1. 装具療法: 急性期においては、コルセットで腰の負担を軽減させることがよい場合もあります。
  2. ブロック療法
    • 椎間関節ブロック注射/後枝内側枝ブロック: 痛みの原因となっている関節に直接、局所麻酔薬やステロイド薬を注射し、強い炎症や痛みを抑えます。診断と治療を兼ねることもありますが、急性痛の場合、注射での効果が高い場合が多いです。
    • 後枝内側枝への高周波熱凝固法: ブロック注射の効果が一時的な場合に、高周波で神経を熱凝固させる方法もあります。

自分でできること – 日常生活でのセルフケアと予防

痛みを改善し、再発を防ぐためには、日常生活でのセルフケアも大切です。

  • 姿勢を意識する: 猫背や反り腰にならないよう、正しい姿勢を心がけましょう。特にデスクワークの方は、時々立ち上がって体を動かすようにしましょう。
  • 無理のないストレッチ: 痛みが強くない範囲で、腰やお尻、股関節周りの筋肉をゆっくり伸ばしましょう。
    • お尻のストレッチ: 椅子に座り、片方の足首を反対側の膝に乗せ、背筋を伸ばしたままゆっくり前に倒れます。
    • 股関節前面(腸腰筋)のストレッチ: 片膝立ちになり、後ろの脚の付け根をゆっくり伸ばします。
  • 体を冷やさない: 血行が悪くなると痛みが出やすくなることがあります。夏場でも冷房で冷やしすぎないように注意しましょう。
  • 適度な運動:負担の少ない運動で筋力を維持しましょう。
  • 急な動作を避ける: 物を持ち上げる時は膝を曲げるなど、腰に負担がかからない動きを意識しましょう。

椎間関節症は、腰痛の一般的な原因の一つです。「動かすとズキッとする」特有の痛みを感じたら、放置せずに早めに専門医へ相談することが改善への第一歩です。

東淀川区で腰痛にお悩みでしたら、ぜひ一度「いとうペインクリニック」へご相談ください。当クリニックでは、保存療法やブロック注射はもちろん、患者様一人ひとりの状態に合わせ、幅広い選択肢の中から最適な治療をご提案します。

日々のセルフケアについても丁寧にアドバイスさせていただき、皆様がつらい腰痛から解放され、快適な毎日を取り戻せるよう、全力でサポートいたします。 まずはお気軽にご来院ください。

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