- 2025年3月12日
下肢痛
下肢痛について

股関節から足先までを下肢と言います。この部分に現れる痛みやしびれなどには様々な原因があります。筋肉や骨などの障害、頚椎や腰椎などの障害、末梢神経の障害、動脈硬化といった血管の問題などです。末梢神経や血管の障害に関しては、糖尿病や高血圧などの生活習慣病が深く関係している場合があるため、内科と連携しての診療が重要となります。
ペインクリニックにおいて下肢痛の治療対象疾患として、以下のようなものがあります。
坐骨神経痛、変形性膝関節症、変形性股関節症 その他:糖尿病性神経障害、下肢の腱炎、痛風など |
坐骨神経痛

坐骨神経は脚に向かう太い神経で、この坐骨神経に沿ってお尻から脚の後面や外側にかけて起こる痛みの総称が坐骨神経痛です。痛みが現れる原因は、坐骨神経そのものや坐骨神経とつながる腰の神経への圧迫です。圧迫を引き起こすものとして、腰部椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、梨状筋症候群などの疾患があります。症状としては、お尻から太ももにかけての痛みやしびれがあります。左右どちらか一方に出ることが多く、とくに太腿の裏や外側に多く現れます。少し歩くと脚が痛み、休みながらでないと歩けなくなる「間欠跛行」という症状が現れる場合もあります。重症化すると安静にしていてもお尻や足がひどく痛んで眠れなくなることもあります。治療としては、消炎鎮痛薬や神経障害性疼痛薬、血管拡張薬などによる薬物療法のほか、坐骨神経ブロック注射などがあります。
変形性膝関節症
変形性膝関節症は、膝の関節が加齢や過度の負荷によってすり減り、痛みや動きの制限を引き起こす疾患です。特に動作の開始時や階段の上り下りで膝の痛みを感じることが多いと思います。また、 膝の動きが制限され、日常生活に支障をきたすことがあります。炎症を起こし、 膝が腫れ、液体が溜まり、熱感を伴うことがあります。
加齢、肥満、O脚などは、変形性膝関節症の原因となります。保存療法として薬物療法や関節内ヒアルロン酸注入や膝神経へのブロック注射などがありますが、減量と大腿四頭筋の強化が大切で、膝関節の負担を軽減します。症状が進行し、保存療法で改善が見込めない場合は、人工膝関節置換術や骨切り手術などの手術療法が検討されます。
変形性股関節症

変形性股関節症は股関節を構成する骨や関節軟骨が、何らかの理由で変形や摩耗・消失が生じる疾患です。主な原因は加齢によって関節軟骨がすり減ることですが、生まれつき股関節が脱臼している場合や、発育段階で寛骨臼がしっかりと形成されず大腿骨のハマりが浅くなってしまう場合などは、変形性股関節症が発症しやすくなります。症状としては、足の付け根、お尻、膝の上部がこわばったり、重い感じがします。長時間の歩行や階段の上り下りで痛みを感じます。進行していくとさらに強く痛むようになり、また股関節が固くなっていきます。それにより足の爪切りや靴下を履くことが難しくなるなど、関節の動きにも制限が生じ、日常生活にも支障をきたすようになってしまいます。治療としては、進行している場合、手術が必要となりますが、保存治療の場合は痛みを緩和しながら運動療法を行います。痛みに対しては消炎鎮痛薬の内服薬や坐薬、注射を用います。また股関節にヒアルロン酸やステロイド薬、局所麻酔薬を投与したり、股関節へ伸びる神経にブロック注射を行う治療法もあります。
ジョイクルという関節の炎症や痛みを和らげるための注射薬もありますが、アナフィラキシーショックの報告があるため、使用時には注意が必要です。股関節は常に荷重がかかる部位であり保存的治療でよくならない場合は、人工関節置換術の考慮も必要です。その場合は、当院より最寄りの病院をご紹介いたします。