- 2025年3月12日
頚部痛
頚部痛について

頚部(頚椎)は7つの頚骨から構成され、前方に凸の湾曲をしており、「約5kgの頭部を支えています。頚部は、衝撃に弱く、姿勢の影響を受けやすい部位であり、痛みも現れやすくなっています。また手足を支配する神経も集まっているため、ここに障害が生じると全身に様々な症状が現れます。
頚部痛の原因となる疾患としては、以下のようなものがあります。
頚椎症性神経根症、頚椎症性脊髄症、椎間板ヘルニア、頚椎椎間関節症、外傷性頚部症候群(むち打ち症)、頚部脊柱管狭窄症、急性疼痛性頚部拘縮(寝ちがい)など |
頚椎症性神経根症
加齢に伴う頸椎の変性により、頚椎を通る神経根が圧迫され、痛みなど様々な症状が引き起こされる病気です。主に中高年層に多く見られます。一般的には左右差があり、症状としては首と肩、肩甲骨のあたりのコリや痛み、腕や指先のしびれ、痛み、脱力感などがあります。首を悪い方へ後ろに曲げると症状が強く出現します。治療としては痛みを軽減させるために内服薬や外用薬、ステロイドや筋弛緩薬の内服薬のほか、星状神経節ブロック、腕神経叢ブロックや頸部神経根ブロックなどがあります。痛みなどの症状が強い場合は、外科的手術も考慮します。
頚椎症性脊髄症
最初、手のしびれ感やボタンのかけづらさなどで自覚されることが多いですが、頸部において中枢神経である脊髄そのものが圧迫されることによって症状が出現します。症状が進行すると下肢にまで症状が広がることがあります。その場合、下肢のつっぱりによる階段の上り下りの困難さなどが出現します。治療としては、消炎鎮痛剤の内服薬や外用薬、ステロイドや筋弛緩薬の内服のほか、硬膜外ブロック注射などがありますが、効果があまりない場合や力が入らないとか下肢の痙性麻痺などの症状が出現した場合は手術が必要です。
頚椎椎間板ヘルニア
頚椎の骨と骨の間には椎間板が存在しています。この椎間板の一部が本来の位置からずれて、飛び出てしまうのが頚椎椎間板ヘルニアです。悪い姿勢を続けることや、スポーツなどが原因となって発症すると考えられています。症状としては首の後ろや肩、腕の痛み・しびれ、さらに頭痛が生じる場合があります。椎間板ヘルニアによる神経の圧迫される部位の違いにより神経根症や脊髄症の症状を引き起こします。痛みに対しては各種鎮痛薬やトリガーポイント注射、星状神経節ブロック、神経根ブロックや硬膜外ブロック注射などがありますが、効果があまりない場合や力が入らないとか下肢の痙性麻痺などの症状が出現した場合は手術が必要です。
頚椎椎間関節症
椎間関節とは、脊椎の各頚骨間にある小さな関節のことで、この関節が脊椎の動きや安定性を支えています。脊椎部分にあるこの椎間関節が炎症や変形を起こすことで頚椎椎間関節症を生じます。原因としては加齢による椎間関節の変性や長時間の悪い姿勢、外傷による損傷(むち打ち症など)が挙げられます。症状としては頸部の痛みやコリ、頭痛や肩の痛み、首の可動域の制限、さらに神経圧迫による上肢の放射状の痛みやしびれなどがあります。治療法としては、まず安静にしておくことが大切ですが、痛みに対しては鎮痛薬の外用薬(湿布や塗り薬)や内服薬の使用、ステロイドの注射や椎間関節ブロック(後枝内側枝ブロック)注射などがあります。
外傷性頚部症候群(むち打ち症)
外傷性頚部症候群(がいしょうせいけいぶしょうこうぐん)、一般的には「むち打ち症」として知られています。これは、首に急激な動きが加わることによって、頚椎や周囲の筋肉、靭帯、神経が損傷を受ける状態を指します。特に自動車事故やスポーツによる外傷が原因となることが多いです。首の後ろや肩に痛み、頭痛や腕や手にしびれや感覚の異常を感じたり、筋力低下やめまいが発生することもあります。 首を休めることが重要ですが、薬物療法や星状神経節ブロックや椎間関節ブロック(後枝内側枝ブロック)注射、温かいタオルやホットパックを使って筋肉をリラックスさせることが有効な場合もあります。交通事故によるもの、訴訟になっている場合などは、怒りや疾病利得などの心理的要因で症状が継続したり悪化したりすることもあります。
頚部脊柱管狭窄症
頚部脊柱管狭窄症(けいぶせきちゅうかんきょうさくしょう)は、頚椎(首の骨)の脊髄神経の通り道である脊柱管が狭く、頸部を動かす結果、脊髄や神経根が圧迫される状態を指します。この状態は、加齢や外傷、椎間板の変性、骨棘の形成などによって引き起こされることがありますが、先天的に脊柱管が狭い(発育性頸部脊柱管狭窄症)場合は症状が出やすくなります。
診断は、問診や理学所見、画像検査(MRI、CT検査、脊髄造影検査など)を通じて行われます。薬物療法やブロック注射などで症状の緩和をはかりますが、力が入らなくなったり麻痺が強くなるような重症の場合や保存療法が効果を示さない場合には、脊柱管を広げる手術を行います。
急性疼痛性頚部拘縮(寝ちがい)
急性疼痛性頚部拘縮(きゅうせいとうつうせいけいぶこうしゅく)とは、首の筋肉や靭帯が急激に緊張し、痛みや動きの制限が生じる状態のことを指します。一般的には「寝違え」や「頚部筋肉の緊張」とも関連しています。首の痛み、動きの制限や筋肉の緊張などの症状を伴います。精神的なストレスが筋肉の緊張を引き起こすこともあります。
首を安静にすることが重要ですが、痛み止めの薬物療法も効果があります。
急性疼痛性頚部拘縮は通常、数日から数週間で改善することが多いですが、ストレスなどで症状が長引く場合もあります。この場合、温熱療法やマッサージを通じて筋肉の緊張を和らげることも有効です。