• 2025年12月16日

新しい睡眠薬が利用可能となります

ボルズィ🄬(一般名:ボルノレキサント水和物)について

ボルズィ🄬(一般名:ボルノレキサント水和物)は新しい睡眠薬です。ベルソムラ🄬(一般名:ズボレキサント;2014年発売)、デエビゴ🄬(一般名:レンボレキサント;2020年発売)、クービビック🄬(一般名:ダレドレキサント;2024年発売)に次いで4番目のオレキシン受容体拮抗薬として、2025年11月27日より使用可能となりました。

作用機序

オレキシンは、覚醒に関与する神経系ペプチドの1つで、オレキシン受容体に働き、覚醒の維持に重要な役割を担っています。ボルズィ🄬などのオレキシン受容体拮抗薬は、オレキシン受容体部分においてオレキシンと競合的にオレキシン受容体をブロックすることによって自然な眠気を誘発するとされています。

図: 2025年10月改訂(第2版)医薬品インタビューフォーム ボルズィより引用

薬剤について

図:meiji seika ファルマホームページより引用

添付文書においては、成人は1日1回5㎎を就寝直前経口投与となっていますが、内服後すぐに入眠できるわけではありません。薬効いてくるまで時間かかりますので、およそ30分から1時間前の内服でよいと考えます。ボルズィは、2.5㎎から最大10㎎までの内服が可能です。使用可能年齢は18歳以上となります。

半減期が短いという特徴があります。

参考 各製品の医薬品インタビューフォーム、添付文書

オレキシン受容体拮抗薬の使用後、患者さんから、翌日の持ち越し効果(薬の残存による眠気などの副作用)があります。

ボルズィ🄬の他のオレキシン受容体拮抗薬との違いについては、半減期が2時間程度で、薬剤の残存時間が極めて短い薬です。このことから、翌日の持ち越し効果(副作用)が少ない薬剤ではないかとされています。

注:添付文書によると、傾眠が3%以上、悪夢も1~3%に認められるとの記載があります。


ボルズイ🄬10mgを、院長個人が試したところ、初日は、半減期の短さのわりに持ち越し効果のような重だるさ(倦怠感)を初日に経験しましたが、その後は、持ち越し効果などは感じませんでした。個人差がありますので自分の体験のみでは何とも言えないですが、ただ半減期が短い新しいオレキシン受容体拮抗薬が使用可能となり、薬剤の選択肢が増えることは、良いことだと思っています。

「不眠症」は、思考力の低下やいらいらなどを誘発し、生活の質(QOL)を大きく低下させてしまいます。我慢せず、ぜひ一度、当院にご相談ください。

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