• 2025年6月19日

【いとうペインクリニック監修】ストレートネック(スマホ首)あなたの首は大丈夫?セルフチェック&今日からできる改善・予防法

こんな症状、ありませんか?もしかして「スマホ首」のサインかも

最近の調査で、20代の56%がストレートネックであるという結果が発表されました。ストレートネックは、スマホ首と呼ばれるように、子どもの頃からのスマホ使用の影響が指摘されています。長時間のパソコン作業やスマートフォン使用されている方、姿勢不良(つい猫背仙骨座り)になってしまう方、運動不足を感じている方。もし、「首や肩が痛む」「めまいや頭痛がする」「手がしびれる」といった症状に悩まされているなら、それは「ストレートネック(スマホ首)」が原因かもしれません。

これらの症状は単なる肩こりだと軽く見られがちですが、自律神経の乱れなどを引き起こし、体の不調につながることもあります。今回は、ストレートネックの原因から、今日からできる予防・改善策についてお伝えします。


ストレートネック(スマホ首)ってどんな状態?

図1 Surg Neurol Int. 2017 May 10;8:72. Musculoskeletal neck pain in children and adolescents: Risk factors and complications. Jawad. Fares  et.allより抜粋

人間の首の骨(頸椎)は、7つの椎骨で構成され、横から見ると、体の前方に向かって緩やかなS字カーブ(生理的前弯)を描いています。このカーブが、約4~6kgと言われる重い頭を支え、衝撃を和らげるクッションの役割を果たしています(図1左端の状態)。

しかし、スマートフォンやパソコン、タブレットなどを長時間操作する際に頭が前に出たり、下を向いたりする姿勢が続くと、この大切なカーブが失われ、頸椎がまるで「まっすぐ」な状態になってしまいます。これが「ストレートネック(スマホ首)」と呼ばれる状態です。

頭が前に傾けば傾くほど、首にかかる負担は増大します。レバノン大学神経科学研究センターのJawad氏らの論文によると、頭を15度傾けるだけで約12kg30度で約18kg60度傾くと約27kg相当と、その重量は劇的に増加するという報告もあります(図1)。起きている間ずっと重い頭を支え続ける首の筋肉にとって、この過度な負担は大きなダメージとなります。

常に首が前に出た状態が続くことで、首の筋肉に想像以上の負荷がかかり、さまざまな不調を引き起こします。

最近では、小学生からスマートフォンやパソコンを使用する機会が増えていることから、大人から子どもまで幅広い世代で見られるようになっています。


ご自身の首の状態を簡単にチェックしてみましょう。

壁を使ったチェック

  1. 壁にかかとお尻肩甲骨後頭部の4点をピタッとつけて立ちます。
  2. このとき、後頭部が壁に付かなければ「スマホ首」といえます。 もし後頭部を付けられても、胸のあたりが詰まって息苦しかったり、姿勢を維持するのがつらかったりするときも、「スマホ首」が疑われます。

スマホ首:以下のような症状がある場合は、早めの対策をおすすめします。

・スマホを使っているときに、首こり、肩こりを感じる
・見上げるとき、首に違和感がある
・首がつまって上を向くことができない・長時間うつむき姿勢でいて、姿勢を変えることが少ない
・目が疲れやすい
・ドライアイである
・猫背の姿勢がほとんど
・長時間、スマホやパソコンを使っている
・身体が疲れやすいと感じる
・やる気が起きない
・スマホを枕元に置いて寝ている
・睡眠不足を感じることが多い
・なんとなく身体に不調がある

放置は危険!ストレートネックが引き起こす体の不調

ストレートネックが引き起こす症状は、単なる首や肩の凝りや痛みだけにとどまりません。

  • 首・肩の凝りや痛み
  • 頭痛
  • めまい
  • 手のしびれ
  • 吐き気
  • 目の不調、眼精疲労、ドライアイ、ドライマウス
  • 猫背、腰痛
  • うつ(自律神経の乱れ)
  • 慢性疲労症候群
  • パニック障害
  • 不眠症
  • 多汗症
  • 機能性胃腸症
  • 更年期障害と似た症状(特に女性の場合)

これらの症状は「頸性神経筋症候群(首こり病)」とも呼ばれ、全身に様々な不調が現れることもあります。


なぜストレートネックになるの? 主な原因は「姿勢」にあり!

ストレートネックを引き起こす原因として、「長時間の同一姿勢」があげられます。

  • 長時間のスマートフォン使用 スマートフォンを見ているとき、多くの人は首や顔が下を向いた状態になり、首の生理的な前弯カーブが失われます。画面に集中するあまり、この不自然な姿勢を長時間続けてしまうことが、ストレートネックを助長します。
  • デスクワーク パソコン作業中も、モニターに集中することで頭が前に出て、肩が内側に入る姿勢になりがちです。これにより首や背中の筋肉が不自然に伸び、胸の筋肉は縮んでしまいます。このような姿勢を続けることも、ストレートネックの大きな原因となります。
  • その他、様々なうつむき姿勢 スマートフォンだけでなく、読書、料理、掃除などの家事、子どもを抱える時、電車での居眠りなど、長時間にわたって首を前に傾けた姿勢はすべてストレートネックの原因となり得ます。

ストレートネックになりやすい人としては、スマートフォンの使用頻度が高い人、首が細い人、首の筋力が弱い人が挙げられます。一般的に筋肉量が少ない女性はリスクが高めですが、若い男性のスマホ首も増加傾向にあります。また、加齢とともに筋肉量は低下するため、中高年以降も注意が必要です。


ストレートネックの改善・予防策

ストレートネックの改善・予防には、日頃の意識と簡単なセルフケアが効果的です。

姿勢の見直しで首への負担を軽減!

  • スマホやタブレットの操作時 なるべく高く持ち上げ、画面と目の高さが同じになるようにしましょう。腕が疲れる場合は、スタンドを使用したりするのもおすすめです。ネックリラクゼーションを行いながら使用することも有効です。
  • 座っているときの姿勢 イス選びも重要です。自分の体に合った大きさで、座った状態で力を抜いても背筋が伸びた状態を保てるイスを選びましょう。ソファも、沈み込みすぎず背もたれに十分な高さがあるものが良いでしょう。
  • デスクワーク時の姿勢 パソコン機器は、猫背防止のためできるだけデスクトップ型を使用するのがおすすめです。骨盤を起こして背中を伸ばし、両肩と頭を引いて背もたれに寄りかかった姿勢が正しい姿勢です。
  • 運転中の姿勢 シートに深く座り、腰とシートの間にクッションなどの補正具をあて、骨盤が後ろに倒れるのを防ぎましょう。

血行促進で筋肉の緊張をほぐす

筋肉のこわばりや血行不良による首のこりや痛みには、温めることが効果的です。

  • 蒸しタオルをあてる
  • 湯船に浸かる:熱すぎないお湯にゆったり浸かると、心身のリラックス効果も得られます。熱すぎないお湯に首までしっかり浸かる全身浴がおすすめです。
  • 首周りを温かくする: 季節を問わずストールなどを持ち歩き、首を冷やさないようにしましょう。お風呂上がりに濡れた髪をそのままにしておくと首が冷えるので、すぐに乾かすことも大切です。

症状緩和に効果的!簡単ストレッチで首・肩をほぐそう

ポイント:反動をつけず、15~30秒ゆっくり行い、呼吸を止めないようにしましょう。


適度な運動と睡眠で体を整える

  • 適度な運動を行う 散歩や柔軟体操をはじめとする全身運動は、精神面にも良い影響を与え、筋肉のこわばりの解消につながります。
  • 睡眠で首をいたわる 質の良い睡眠をとり、首の疲れを回復させましょう。高すぎる枕や柔らかすぎる枕は首に負担をかけます。ご自身のサイズに合った枕を選びましょう。
  • バッグはバランスよく持つ ショルダーバッグなど片方の肩にかけるものは、時々持ち替えて体の左右のバランスを整えましょう。リュックサックは左右均等に負荷がかかるのでおすすめです。

サポーターの活用も検討してもよいかもです。

デスクワークやスマホ操作中は、意識しないと首が前傾しがちです。集中して作業する際など、首が前傾する姿勢が続くシーンでサポーターを取り入れるのも有効な対策です。サポーターを着用することで、首の過度な倒れ込みを防ぎ、ストレートネック対策に役立ちます。


首のマッサージはNG!

マッサージしても問題ありませんが、痛いところを強い力でもんだり押したりしてはいけません。また、痛めた首の筋肉を強化しようと強度のトレーニングを行うと、かえって筋肉に負荷がかかり、症状を悪化させてしまう可能性があります。首の不調を癒すには、まずは首の筋肉を休めることが大切です。


ストレートネックとさよなら!快適な毎日を取り戻しましょう

スマートフォンやパソコンは、私たちの生活に欠かせないツールですが、使い方によってはストレートネックという首の不調を引き起こす原因にもなります。時間を忘れて没頭してしまうこともありますが、ご自身の体を守るためにも、日頃から正しい姿勢を心がけ、スマートフォンやパソコンの使用時間を決め、今回ご紹介したストレッチやセルフケアを継続して行いましょう。

もし、セルフケアを行っても症状が改善しない場合や、痛みが強い場合は、いとうペインクリニックご相談ください。「首こり病」のような不調につながる可能性もあるため、決して軽視せず、適切な治療を受けることが大切です。あなたの快適な毎日を応援しています。

いとうペインクリニック 06-6755-9074 ホームページ