- 2025年4月12日
著名人も経験した「圧迫骨折」とその原因となる骨粗鬆症について

圧迫骨折は、高齢者や骨粗鬆症の患者に多い骨折の一つです。近年では、著名人の圧迫骨折のニュースも報じられ、多くの人が関心を持つようになりました。この記事では、圧迫骨折の原因、症状、治療法、そして予防策について解説します。
圧迫骨折とは?

圧迫骨折とは、脊椎(背骨)の一部である椎体が外部からの圧力によって潰れてしまう骨折のことを指します。特に腰椎(腰の部分の脊椎)や胸椎(背中の部分の脊椎)で発生しやすい骨折です。若い人では高所からの転落や交通事故などの大きな衝撃で発生することが多いですが、高齢者では尻もちや軽い転倒などでも発生することがあります。
特に骨粗鬆症の患者では、骨の密度が低下しているため、骨がもろくなっており、くしゃみや咳といった日常的な動作でも圧迫骨折を引き起こす可能性があります。
著名人にも多い圧迫骨折の事例
1. 小林旭さん
歌手で俳優の小林旭さんは、自宅の階段から転倒し、肋骨にひびが入っただけでなく、その後さらに2度転倒し、仙骨(骨盤の一部)の圧迫骨折と診断されたそうです。
2. SUGIZOさん(LUNA SEA)
LUNA SEAのギタリストSUGIZOさんは、ツアー中にステージでのアクシデントにより第一腰椎圧迫骨折を負いました。
3. トレンディエンジェル・斎藤司さん
フジテレビのバラエティ番組のロケ中、エアバッグをお尻で爆発させる実験により、背骨の圧迫骨折と右手首捻挫の重傷を負いました。
4. 志茂田景樹さん
南会津での保養中に転倒し、腰を圧迫骨折しました。最初は打撲だと思い3日ほど放置していたそうですが、痛みが治まらず病院を受診したところ、圧迫骨折と診断されたそうです。
5.大場久美子さん、松本伊代さん、長山藍子さんなど
このように、多くの著名人も経験している圧迫骨折ですが、特に高齢者や骨粗鬆症の患者にとっては要注意の病気です。
圧迫骨折の原因
圧迫骨折の原因は、大きく以下の2つに分けられます。
1.外傷によるもの

- 高所からの落下
- 交通事故
- スポーツ時の転倒
2.骨粗鬆症によるもの

- 軽微な転倒
- くしゃみや咳
- 重い荷物を持ち上げる
- 日常的な背骨への負担
骨粗鬆症の患者では、特別な事故がなくても骨折する「いつの間にか骨折」が起こることがあります。
圧迫骨折の症状
1. 急性期(骨折直後)
- 腰や背中の強い痛み
- 起き上がるときや寝返り時の痛み
- 叩くと痛みが強くなる
2. 亜急性期(数週間~数か月後)
- 体動時腰痛(動くたびに痛む)
- 背中の違和感
- 歩行時の不安定感
3. 慢性期(数か月後~)
- 背中が丸くなる(円背)
- 身長の低下
- 神経圧迫による足のしびれや麻痺がおこる場合もある
但し、圧迫骨折には、無症候性の場合(気づかない間に圧迫骨折している場合)もあります。
圧迫骨折の診断方法
叩打痛(背骨をトントンと叩いたり、背骨をゆすって痛みを誘発)の有無を確認
圧迫骨折の診断には以下の検査が行われます。
- X線(レントゲン):骨の変形を確認 立位と仰臥位で骨(椎体)の変形を確認
- MRI:骨折の新しさや神経圧迫の有無を診断
- CTスキャン:骨折の詳細な形態を把握
- 骨密度検査:骨粗鬆症の有無を確認
圧迫骨折の治療法
1. 保存療法(軽症~中等症)
- コルセット装着:骨折部を固定 コルセットについてはしなくてもよいという考えもあります。
- 鎮痛剤の使用:痛みの緩和
- 安静:1~2週間の安静
- リハビリ:徐々に動かして回復を促進、四肢など骨折と関係ない部位は早期から動かす。
- 骨粗鬆症治療薬の開始
2. 手術療法(重症例)
- 経皮的椎体形成術(BKP):バルーンを挿入し、骨セメントで固定
- 後方固定術:ボルトやプレートで固定(神経圧迫がある場合)
これらは、入院し全身麻酔下で行われます。
圧迫骨折の予防策
1.骨粗鬆症の治療

- カルシウムやビタミンDの摂取
- 骨粗鬆症治療薬の開始
- 日光浴や適度な運動 骨には適度な刺激が必要です。
2.日常生活の工夫

- 転倒防止のための手すり設置
- つまずきやすい段差の改善
- 滑りにくい靴の着用
筋力トレーニング

- 下半身とインナーマッスルの強化
- バランス訓練で転倒防止
圧迫骨折は、特に高齢者や骨粗鬆症患者に多く、日常の些細な動作でも発生する可能性があります。しかし、適切な診断と治療を受ければ、多くの人が回復し、日常生活に戻ることができます。
骨粗鬆症の予防・治療を行いながら、圧迫骨折を防ぐための生活習慣を見直し、健康な体を維持していきましょう。腰や背中に痛みを感じたら、早めにいとうペインクリニックへどうぞ。